シラバス情報

科目名
メディアと法
授業コード
25028
担当者名
松井 一洋
副題
現代メディアをとりまく法的諸問題
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2019年度前期
教職免許種類

授業内容
この授業は、情報メディア法を対象領域とする発展・応用科目です。デジタル化に象徴される新しい情報技術の普及によって、公権力および市民社会の情報の開示・公開と人権保護のあり方が厳しく問われ、「個人情報の保護」や「青少年の健全育成」等と表現の自由(憲法21条)との相克も目立っている昨今、判例理論や学説の到達点をふまえて、現代メディアが提起する諸問題を的確に理解します。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
メディアをめぐってさまざまな法的問題が提起されるようになっている現状をふまえて、現代メディアの特質とそれを取り巻く状況、表現の自由の現代的状況等について、代表的な判例や裁判例を読み解きながら、社会問題解決のための倫理的理解と実践的応用力を身につけることを目標とします。
【身につく力】 「知識・理解」「論理的思考力・分析力」「プレゼンテーション力」
授業計画
第 1 回 はじめに〜現代メディアと基本的人権を捉える視座について <日本国憲法全文>
第 2 回 【取材・報道の自由】取材の自由と国家秘密(最高裁昭和53年5月31日第一小法廷決定)
第 3 回 【取材・報道の自由】報道の自由と公正な裁判(最高裁昭和44年11月25日大法廷決定)
第 4 回 【取材・報道の自由】取材ビデオテープの押収と取材の自由(最高裁平成2年7月9日第二小法廷)
第 5 回 【情報の公開】自己情報の本人開示(最高裁平成13年12月18日第三小法廷判決)
第 6 回 【名誉棄損】マスメディア間の名誉棄損(東京地裁平成12年2月21日判決)
第 7 回 【名誉棄損】専門家の意見と相当性の判断(東京地裁平成8年3月25日判決)
第 8 回 【名誉棄損】現実的悪意の理論(大阪高裁平成元年5月26日判決)
第 9 回 【プライバシー】ノンフィクション作品における前科の公表(最高裁平成6年?8日第一小法廷判決)
第10回 【プライバシー】少年の仮名報道と少年法61条(最高裁平成15年3月14日第二小法廷判決)
第11回 【救済手段】意見広告と反論文の掲載請求(最高裁昭和62年4月24日第二小法廷判決)
第12回 【新聞・出版】未決拘禁者の新聞閲読の制限(最高裁昭和58年6月22日大法廷判決)
第13回 【放送】放送法4条に基づく訂正放送(最高裁平成16年11月25日第一小法廷判決)
第14回 【インターネット】名誉を棄損する書き込みを放置した電子掲示板を放置した管理者の責任(東京高裁平成14年12月25日判決)
第15回 まとめ〜現代情報社会と基本的人権の未来を展望する 
関連科目
憲法等一般法の授業を履修しておくことが望ましい。
準備学習等の指示
実社会で発生するメディアと人権との多様な問題について、常にアンテナを高くして新聞等マスコミ報道に注目する習慣をつけてください。また、資料を事前に配布しますので、熟読し、課題や質問事項を整理して授業の参加してください。そのためには最低でも60分以上の予習をしてください。なお、履修者数によっては、授業の進行がゼミ形式になる場合もありますので、ご承知ください。
教科書
資料を事前配布します。
参考文献
長谷部恭男・堀部政男編『メディア判例百選』別冊ジュリスト(有斐閣、2005 年)
田島泰彦・右崎正博・服部孝章編『現代メディアと法』(三省堂、1998 年)
松井茂記『マス・メディア法入門(第5版)』(日本評論社、2013 年)など。
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
(1)出席状況・受講態度(20%)
(2)学内定期試験(80%)
ただし、広島経済大学学内定期試験細則に従い、出席日数が3分の2に満たない場合には、定期試験の受験を認めません。  
実務経験と授業との関連
備考
授業では、規律と集中を心がけてください。また、必要事項は必ずメモをとる習慣をつけましょう。
授業中の携帯電話(スマホ等)の利用、私語と居眠りは一切認めません。