シラバス情報

科目名
所得税法特論
授業コード
71044
担当者名
一橋 信之
副題
単位数
4.00単位
配当年次
1年
開講学期
2019年度前期、2019年度後期
教職免許種類
高校専修(公民)

授業内容
所得税法は多くの国において基幹税として位置づけられる最も重要な税法です。その法規定は、行為規範、行政規範、裁判規範の3つの側面をもちます。この授業ではこれら三面を包括的に学びます。行為規範としての課税所得の算定理論、公法として課税の適正さを担保する行政規範としての所得税法、税務判例を題材に裁判規範としての構造を並行的に学び、さらに、他の税法との関連を考察します。そのうえで、こうした所得税法の規定が実現しようとする政策目的を、経済学の考え方から考察し、所得税法全体のより深い法学解釈を研究します。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
所得税法の税法学的解釈を研究し、実社会における所得税に関する実務遂行能力を養うことを目標とします。所得税法の主要条文の趣旨を理解し、その文理解釈ができるようになり、また、税務問題について法学論理的な分析ができるようになることを目指します。
授業計画
第 1 回 課税要件論と納税義務者
第 2 回 所得の意義(所得とは何か)
第 3 回 利子所得・配当所得
第 4 回 事業所得
第 5 回 不動産所得
第 6 回 給与所得・退職所得
第 7 回 譲渡所得
第 8 回 一時所得・雑所得
第 9 回 課税所得計算過程論
第10回 所得の損益通算(損益通算と総合課税の関係)
第11回 繰越控除の理論(課税年度の税法上の意味について考える)
第12回 所得控除の理論(所得控除のうち物的控除について研究する)
第13回 所得控除の理論(所得控除のうち人的控除について研究する)
第14回 税額控除と所得控除(それぞれの経済効果の違いも考察する)
第15回 課税所得計算の総合演習
第16回 所得税法の条文構成
第17回 居住者・非居住者の意義(ディベート実施)
第18回 収入金額論(所得税法第36条の研究)
第19回 必要経費論(所得税法第37条の研究、ディベート実施)
第20回 税法と権利・義務確定主義
第21回 みなし概念(みなし配当とみなし譲渡)
第22回 法人税法通則(第22条)と所得税法の異同
第23回 法人税法と所得税法の関係
第24回 相続税法と所得税法の関係
第25回 消費税法と所得税法の関係
第26回 租税債務の成立と確定(国税通則法入門)
第27回 アメリカ税法典(IRC)の基礎
第28回 所得概念の研究1(経済的所得と法的所得の違いと課税)
第29回 所得概念の研究2(Simonsの包括所得説に関する原典の一部を読む)
第30回 所得税法が実現しようとする公平と経済学の公平
関連科目
租税制度論特論、法人税法特論、消費税法特論
準備学習等の指示
輪番制による発表形式を採るので毎回教材の予習が2時間以上必要です。また、随時に法律学の自主学習も必要です。
教科書
『スタンダード所得税法(第2版補正版)』(佐藤英明、弘文堂、2018年)、3,780円。
参考文献
『所得税法の論点研究』(酒井克彦、財経詳報社、2011年)
その他の参考文献は授業で随時紹介します。
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
出席状況・受講態度と課題発表内容により総合的に評価します。
実務経験と授業との関連
税理士として税務実務に長年携わった経験を活かし、相手に対して対抗できる税法解釈論の展開の仕方を指導します。
備考
特にありません