シラバス情報

科目名
経済史基礎Ⅰ
授業コード
21021
担当者名
竹林 栄治
副題
近代以前の経済の歴史
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2019年度前期
教職免許種類
高校一種(地理歴史)

授業内容
この授業は、古代から現代までの人間の経済活動について、そのおおよその変遷を世界史の大きな流れを踏まえながら、理解することを目指します。すなわち、過去から現在に至る「経済の歴史」の重要項目をさまざまな視点(市場・技術・労働・資本・価値観・過去の影響など)から捉えます。特に前期に開講される経済史基礎Ⅰでは古代から近世までの時代を取り扱います。
この授業では予習と復習が不可欠です。授業前に学習ポータル(Edutrack)上で配布資料を読み込んで、授業本番に臨みます。授業後に当日の授業内容を踏まえた確認問題を毎回学習ポータル上で解答し、正解を各自で確認すること。当該問題に対しての質問はオフィスアワーに対応します。とくに第5回は討論型授業です。各自が学習ポータル上のディスカッション機能を用いて授業前に当該テーマについて意見を書き込んでください。他の受講生の意見を参考にしつつ当日の授業に参加してください。本番でも学生同士の意見を交わします。それを踏まえて小試験を実施します(試験後に解答例を説明します)。また、すべての授業は録画されているので復習に十分に活用してください。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
この授業は次の目標を目指します。
1)経済学的に考える能力が身に付きます。
2)多文化を尊重し、異文化を理解する姿勢が養われます。
【身につく力】 「知識・理解」 「論理的思考力・分析力 」「斬新な発想をする力」
授業計画
第1回 「経済の歴史」の効用
     経済の歴史とは何かを説明し、それを学ぶ意義を「多様な視点」と「自己相対化」の観点から、
     歴史的事例を挙げて説明します。
第2回 農業の開始
 後氷期に人類が狩猟採集経済から農業へ移行した理由を限界費用と限界収入の観点から歴史的
     事例を挙げて考えます。
第3回  古代国家の成立
     古代国家の成立を、安全保障についての規模の経済(スケールメリット)の追求の観点から歴史的
     事例を挙げて考えます。
第4回 古代の日本
     古代の日本を縄文期・弥生期・古墳期・律令期に分けて説明し、とくに律令期の土地制度と税制の
     変遷を財産権の確立とインセンティブ構造の観点から学びます。
第5回 歴史における人口圧 —「人口と食料の関係」—(討論型授業)
気候変動に伴う架空の部族での食料と人口の不均衡から人口と食料の関係を考え、どうすれば
     自分の部族を存続できるかを、受講者同士で学習ポータル(LINE形式)上や教室内で討論します。
第6回 封建社会の特徴
     身分制社会の原理がなぜ必要だったかを考え、身分表彰手段としての威信財の役割を学びます。
第7回 中世の農業
     中世社会の主要な産業であり、社会的富の大部分を生産する農業とそれが展開する空間としての
     農村とそこに住む農民の生活を学びます。
第8回 中世の都市と商工業
     貨幣的富が集中する空間である中世都市の東西比較とそこで生産される商品、都市と周辺農村と
     の経済的関係、商業と宗教について学びます。
第9回 東西交易の発展
     ユーラシア規模での交換経済を支えた東西交易網(ユーラシア円環ネットワーク)とそこで活躍
     した遠隔地商人の役割を学びます。
第10回 中世の日本
      鎌倉・室町・戦国期時代の商工業と貨幣について学ぶとともに、徳政令の経済史的意義について
      考えます。
第11回 大航海時代と欧州の世界進出
 西洋諸国の海外進出の政治的・宗教的・経済的動機および欧州世界拡大の物的・精神的前提
      について学びます。
第12回 西欧の植民地支配−中南米・アフリカ・アジア−
      中南米・アフリカ・アジアにおける西欧諸国の植民地支配の違いと生産の組織化、地球規模での
      交換経済を加速化させた蘭の役割を学びます。
第13回 ヨーロッパ経済・社会の変化
      新大陸やアジア物産の流入による欧州人の生活様式の大きな変化や初期産業革命についてを、
      食材や食器(陶磁器)を事例に挙げて学びます。
第14回 主権国家の成立と重商主義
      欧州における主権国家の形成を国語の形成と規範文法の整備の観点から説明し、それらの諸国が
      経済活動に関与した政策の内容とその理由を学びます。
第15回 大航海時代における日本
      織豊時代から江戸時代初期にかけての日本の輸入品から、外国との交易の必要性を考えます。
      江戸時代中期にみられる輸入代替化の理由も学びます。

※諸事情により、上記の日程は変更される可能性があります。 
関連科目
関連科目では、西洋経済史Ⅰ、東洋経済史Ⅰ、日本経済史Ⅰおよび日本経営史等の経済史・経営史系科目があります。また経済入門、経営入門、ミクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、マクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、財政学Ⅰ・Ⅱ、金融論Ⅰ・Ⅱ等の経済学・経営学系科目も大いに関連しています。
共通科目としては、必修英語AⅠ・Ⅱ、BⅠ・Ⅱ、ドイツ語Ⅰ・Ⅱ、フランス語Ⅰ・Ⅱ、スペイン語Ⅰ・Ⅱ、中国語Ⅰ・Ⅱという語学系科目と日本の歴史Ⅰ・Ⅱ、世界の歴史Ⅰの自己理解・他者理解系科目があります。
準備学習等の指示
この授業をより良く理解するために、次のことに留意しましょう。
1.事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)し、それらを読み込みます。予習が大前提です。予習には90分以上必要です。
2.受講後に学習ポータル上の確認問題を解答してください(定期試験の範囲に含まれます)。また定期試験までに学習ポータル上での確認問題で出題された出来事や人名等を漢字で正確に書けるようにしておくこと(試験の際漢字を間違えたり、カナで書けば採点対象外です)。理解が不十分な場合には配布資料の再読や録画の視聴を勧めます。これらの復習に必要な時間は90分程度です。
3.この授業は、世界史や日本史を既に学習していることを前提にしているので、これらの科目の知識に不安のある受講生は、高校の教科書や参考書を予め読んでおきましょう。
4.新聞、テレビやインターネットで国際ニュースや時事ニュースを見ておくこと(大学生としての最低限の教養は受講の際に必要です)。
教科書
使用しません。事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)してください。
参考文献
経済史では、荒井政治、竹岡敬温、『概説西洋経済史』、有斐閣、1980年、岡田泰男、『経済史入門—過去と現在を結ぶもの』、慶應義塾大学出版会、1997年、1979年、堺憲一、『新版あなたが歴史と出会うとき—経済の視点から』、名古屋大学出版会、2009年、林達、『一般経済史』、学文社、1995年等があります。
世界史では、『詳説世界史B』、山川出版社、 『世界史B』、東京書籍、『世界史B 人、暮らしがあふれる歴史』、第一学習社等があります。またNHKテレビ高校講座の世界史も役立ちます。
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
学内定期試験(80%)、小試験(20%)および出席点(+α)で評価します。
出席回数が総授業回数の3分の2に満たない者は定期試験の受験を認めないことがあります。
<出席点の取扱い>
・出席回数が11回以上からの出席を評価します。
・11回以上からの出席点は100点満点の外枠で評価します(但し100点を超えた場合は100点満点とします)。
実務経験と授業との関連
なし
備考
受講者心得
1.事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)して持参してください。
2.他の受講生の勉強の妨げになるので、授業中の私語は厳禁です。友達とのお喋りは授業時間外にしましょう。非常に騒がしくて授業の妨げになる場合は、教員が適切と考える処置を取ることがあります。