シラバス情報

科目名
日本経済史特殊研究
授業コード
72006
担当者名
相良 英輔
副題
単位数
2.00単位
配当年次
1年
開講学期
2019年度後期
教職免許種類

授業内容
この授業では、日本の産業革命を主なテーマにして、講義していきます。とくに日本の産業革命は日清・日露の二つの大戦争を通して展開されており、その結果として日本は急速に帝国主義化していきました。いっぽう、近年は産業革命を「本格的工業化」といい換える傾向が強まっています。さらに近代産業とそれ以外の在来的な産業との均衡成長による経済発展も注目されてきた。この授業ではこのような日本の近代化と産業革命の特徴をみていきたい。また、講義の過程で課題を出し、提出レポートを検討し、講義に対する知識・理解の内容を検討し、受講生と教員の意見交換を行いながら、理論的思考力・分析力を育成していきます。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
日清戦争を経て、第一段階の日本の産業革命は、経済構造をどのようにかえていったかを把握させ、さらに日露戦争を通して産業革命が確立していく過程での経済構造の変化はどのようなものであったかをみます。
授業計画
第1回 19世紀末、欧米の大不況のなかでの日本経済
第2回 民間産業の育成
第3回 企業勃興と在来織物業
第4回 世界恐慌と松方デフレ
第5回 産業革命の開始と日清戦争
第6回 生糸・米穀の輸出
第7回 鉱山業と財閥、拡大する生糸生産と織物業
第8回 日清戦争への道
第9回 戦争を支えた経済力、日本軍の兵器と戦闘力
第10回 東アジアの帝国主義、植民地台湾の経営
第11回 資本制企業の展開、日本も金本位制へ。日清戦後の企業勃興
第12回 農村地域と産業革命
第13回 近代軍事技術と戦場としての韓国と中国
第14回 累積する外債と1907年恐慌
第15回 財閥の巨大化と社会的地位
関連科目
西洋経済史特殊研究
準備学習等の指示
博士課程後期は研究者養成コースであるから、研究論文を作成するための学力を身につけていかなければならない。従って自らの具体的研究テーマに沿った先行論文を提示できるようになることも大事である。授業テーマの関連論文も提示できるようにし、いくらかの研究者の学説も提示できるようにする。
教科書
教科書は使いませんが、授業用レジメ資料を配布します。
参考文献
岩波講座『日本歴史』第16巻・近現代2(2014年6月)
朝日選書581 石井寛治著『日本の産業革命—日清・日露戦争から考えるー』(朝日新聞・1977年)
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
授業出席20% 課題30% 試験50%を原則とする。明治19年以降の企業勃興、在来産業の存在、綿糸織物業の発達、製糸業の展開、綿糸織物業や製糸業における生産がどのような特徴を持っているか、それぞれがどう異なっているかをはっきりと把握しているかどうかを確認する。さらには鉱山業、製鉄業など、重工業の基礎となる産業がどのように展開していったかを理解しているかどうかを確認する。

実務経験と授業との関連
備考
研究テーマについては、学説整理をしていくことが望ましい。