シラバス情報

科目名
経済史基礎Ⅱ
授業コード
21022
担当者名
竹林 栄治
副題
近代以後の経済の歴史
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2019年度後期
教職免許種類
高校一種(地理歴史)

授業内容
この授業は、古代から現代までの人間の経済活動について、そのおおよその変遷を世界史の大きな流れを踏まえながら、理解することを目指します。すなわち、過去から現在に至る「経済の歴史」の重要項目をさまざまな視点(市場・技術・労働・資本・価値観・過去の影響など)から捉えます。特に後期に開講される経済史基礎Ⅱでは近代以後の時代を取り扱います。
この授業では予習と復習が不可欠です。授業前に学習ポータル(Edutrack)上で配布資料を読み込んで、授業本番に臨みます。授業後に当日の授業内容を踏まえた確認問題を毎回学習ポータル上で解答し、正解を各自で確認すること。当該問題に対しての質問はオフィスアワーに対応します。とくに第11回は討論型授業です。各自が学習ポータル上のディスカッション機能を用いて授業前に当該テーマについて意見を書き込んでください。他の受講生の意見を参考にしつつ当日の授業に参加してください。本番でも学生同士の意見を交わします。それを踏まえて小試験を実施します(試験後に解答例を説明します)。また、すべての授業は録画されているので復習に十分に活用してください。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
この授業は次の目標を目指します。
1)経済学的に考える能力が身に付きます。
2)多文化を尊重し、異文化を理解する姿勢が養われます。
【身につく力】 「知識・理解」「論理的思考力・分析力 」「斬新な発想をする力」
授業計画
第1回 「経済の歴史」の効用
     経済の歴史の定義を説明し、それを学ぶ意義を「多様な視点」と「自己相対化」の観点から、歴史
     的事例を挙げて学びます。
第2回 「市民社会の成立と経済」
市民革命の定義とその政治的影響を説明するとともに、その経済的影響を財産権や取引費用の観点      から学びます。
第3回 欧米諸国の産業革命①—イギリス—
     産業革命との定義と用語の変遷を学びます。次いでイギリスの産業革命を供給面と需要面の要因に
     分けて理解します。 
第4回 欧米諸国の産業革命②—アメリカ・フランス—
アメリカの産業革命を労働節約的、互換性部品の使用による大量生産等の観点から、フランス
のそれを石炭資源の乏しさ、国内市場の狭隘性等の観点から学びます。
第5回 欧米諸国の産業革命③—ドイツ—
ドイツの産業革命を資本財の輸入代替化、鉄道業の前方・後方連関効果、投資銀行の役割等の
観点から学びます。
第6回 非欧米諸国の産業革命—日本—
日本の産業革命を制度改革、輸出産業の育成、造船業や軍需工業の発展、資金調達と外資等の
観点から学びます。
第7回 資本主義の改良と社会主義思想
産業革命初期の工場労働者の状態と労働運動の激化、企業家や国家による労働条件の改善の
理由等を学びます。
第8回 ベルエポック
     旧き良き時代の定義を説明し、新たな小売り形態である百貨店と新たに成立した余暇産業を事例
     に挙げてこの時代の特徴を学びます。
第9回 帝国主義の時代—鉄道から見る帝国主義—
     帝国主義の定義、類型と影響を説明し、鉄道の軌間(ゲージ)を事例に挙げて帝国主義的支配の
     本質を理解します。
第10回 帝国主義の諸相—言語から見る帝国主義—(討論型授業)
      植民地での言語強制を事例に挙げて希少性と選択・機会費用の観点から言語シフトを考えます。
 当該テーマについて受講生同士が学習ポータル上(LINE形式)や教室内で討論します。
第11回 戦間期の各国経済
      戦間期の各国の経済政策を、アメリカのニューディール、ナチスドイツの四か年計画、ソ連の五か年
      計画の事例を挙げて学びます。
第12回 第二次大戦後の世界経済①—米ソ両大国の興亡—
      アメリカの経済を50年代の繁栄からレーガノミックスの時期に分けて説明します。またソ連の経済運      営をフルシチョフ時代からペレストロイカの時期に分けて学びます。 
第13回 第二次大戦後の世界経済②—中華人民共和国と中華民国—
新中国の経済運営を建国期、大躍進期、文革期、改革開放期に分けて理解します。また台湾経済を      戦前の日本によるインフラ整備から戦後の輸出志向型工業化の時期を学びます。
第14回 第二次大戦後の世界経済③—西ドイツの戦後復興と経済発展—
      西ドイツの戦後復興と経済発展を復興期・高度経済成長期・安定成長期に分け、当該時期の経済を      主導した産業や製品を事例に挙げて学びます。
第15回 第二次大戦後の世界経済④—日本の戦後復興と経済発展—
      日本の戦後復興と経済発展を復興期・高度経済成長期・安定成長期に分け、当該時期の経済を主       導 した産業や製品を事例に挙げて学びます。 

※諸事情により、上記の日程は変更される可能性があります。 
関連科目
関連科目では、西洋経済史Ⅱ、東洋経済史Ⅱ、日本経済史Ⅱおよび日本経営史等の経済史・経営史系科目があります。また経済入門、経営入門、ミクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、マクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、財政学Ⅰ・Ⅱ、金融論Ⅰ・Ⅱ等の経済学・経営学系科目も大いに関連しています。
共通科目としては、必修英語AⅠ・Ⅱ、BⅠ・Ⅱ、ドイツ語Ⅰ・Ⅱ、フランス語Ⅰ・Ⅱ、スペイン語Ⅰ・Ⅱ、中国語Ⅰ・Ⅱという語学系科目と日本の歴史Ⅲ、世界の歴史Ⅱの自己理解・他者理解系科目があります。
準備学習等の指示
この授業をより良く理解するために、次のことに留意しましょう。
1.事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)し、それらを読み込みます。予習が大前提です。予習には90分以上必要です。
2.受講後に学習ポータル上の確認問題を解答してください(定期試験の範囲に含まれます)。また定期試験までに学習ポータル上の確認問題で出題された出来事や人名等を漢字で正確に書けるようにしておくこと(試験の際漢字を間違えたり、カナで書けば採点対象外です)。理解が不十分な場合には配布資料の再読や録画の視聴を勧めます。これらの復習に必要な時間は90分程度です。
3.この授業は、世界史や日本史を既に学習していることを前提にしているので、これらの科目の知識に不安のある受講生は、高校の教科書や参考書を予め読んでおきましょう。
4.新聞、テレビやインターネットで国際ニュースや時事ニュースを見ておくこと(大学生としての最低限の教養は受講の際に必要です)。
教科書
使用しません。事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)してください。
参考文献
経済史では、荒井政治、竹岡敬温、『概説西洋経済史』、有斐閣、1980年、岡田泰男、『経済史入門—過去と現在を結ぶもの』、慶應義塾大学出版会、1997年、クロード・フォーラン、『産業革命とは何か』、晃洋書房、1979年、堺憲一、『新版あなたが歴史と出会うとき—経済の視点から』、名古屋大学出版会、2009年、林達、『一般経済史』、学文社、1995年等があります。
世界史では、『詳説世界史B』、山川出版社、 『世界史B』、東京書籍、『世界史B 人、暮らしがあふれる歴史』、第一学習社等があります。またNHKテレビ高校講座の世界史も役立ちます。
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
学内定期試験(80%)、小試験(20%)および出席点(+α)で評価します。
出席回数が総授業回数の3分の2に満たない場合は、定期試験の受験を認めないことがあります。
<出席点の取扱い>
・出席回数が11回以上からの出席を評価します。
・11回以上からの出席点は100点満点の外枠で評価します(但し100点を超えた場合は100点満点とします)。但し、受講態度が著しく不良な者は無効とします。

実務経験と授業との関連
なし
備考
受講者心得
1.事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)して持参してください。
2.他の受講生の勉強の妨げになるので、授業中の私語は厳禁です。友達とのお喋りは授業時間外にしましょう。非常に騒がしくて授業の妨げになる場合は、教員が適切と考える処置を取ることがあります。