シラバス情報

科目名
環境経済学
授業コード
21056
担当者名
新垣 繁秀
副題
環境問題解決への経済学的アプローチ
単位数
2.00単位
配当年次
3年
開講学期
2019年度後期
教職免許種類

授業内容
ミクロ経済学では、家計と企業行動、さらに市場の働きについての基本的な内容を学んだと思います。本科目環境経済学は、応用経済学の一つの分野です。市場の失敗である外部性や公共財などのうち、資源や環境にかかわる問題を対象とします。そして本講義では、大きく3つのことを扱います。最初に、経済学に軸足をおきつつ環境経済学が扱う課題を幅広く学びます。次に、環境問題に係わる理論を扱います。最後に、環境問題を内部化する政策、その際に重要な役割を果たす環境の価値の計測方法について学びます。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
本講義では、おおよそ次にあげる2点を身に着けることを目標としております。
 「知識・理解」
 「論理的思考力・分析力」

また本講義では、経済学の視点から環境問題とは何か、その本質的捉え方を学びます。換言すれば、経済モデルは机上の空論ではなく、現実をうまく捉え、政策形成にいかに生かされているかを学びます。その理解を踏まえ、受講生自らの力で、問題解決の糸口を見つけることを目的としています。
授業計画
第 1 回  環境経済学を学ぶこと 
環境経済学を学ぶ理由を理解するために、希少性、選択を理解し、それを日常の様々なところで応用出来るようにする。 今後、本科目を履修していくための案内をする。

第 2 回  市場メカニズム  市場取引のメリット
市場メカニズム、パレート最適などの市場経済の基本事項を学び、市場の効率性を理解する。また市場規制の非効率性などを余剰概念で理解する。 

第3回 生活と環境  身近なごみ問題から地球環境問題まで
ごみ問題や地球環境問題など、身近な生活にかかわる環境問題を例に経済との関係について理解する。

第 4 回 市場の失敗(1)  外部性と環境問題 
市場取引にかかわらない経済主体に何らかの効果がもたらされることを外部性と呼ぶ。特に環境問題を負の外部性として考えたとき、環境問題はどのような影響を経済にもたらすかを理解する。

第 5 回 市場の失敗(2) 公共財と環境問題 
環境問題に対して、フリーライド問題がどのように生じているかを紹介し、自発的な取り組みのみで環境問題に対応することがいかに困難かを理解する。

第 6 回 環境政策の基礎理論(1) 直接規制と市場メカニズム
環境問題への規制的手段とは、政府が汚染発生者を直接規制することであるが、時には、それが非効率性を生むということを理解する。

第7 回 環境政策の基礎理論(2)  課税と補助金
政策課税としての環境税そして補助金は、汚染削減を目的としおり、同一の効果が期待されるが、長期においては異なる結果が出る。このことについて経済的な理解を深める。


第8回 環境政策の基礎理論(3) ー交渉による解決ー  コースの定理
負の外部性があるとき、交渉による解決が社会全体の厚生を高めるというのがコースの定理である.。ここではそれがうまく機能する条件について学ぶ。併せて 環境利用権,コースの定理の限界について理解を深める。


第9回 環境政策の基礎理論(4) ー交渉による解決ー  排出量取引制度とその実際
排出量取引制度とは、排出される汚染物質1単位ごとに排出する権利を規定し、その権利を市場で取引可能にする制度であるが、その仕組みがどのように環境問題を解決する際の一助となるかを理解する。

第10回 環境政策の基礎理論(5) ー交渉による解決ー 社会的選択アプローチ
環境問題への諸政策は、実際に導入されなければ意味がない。この導入への政策プロセスの理論的アプローチとその実際を見ていく。政策過程における現実的な問題を考える。

第11回環境政策の応用(1)   ごみ処理手数料有料制とごみ減量化そして自治体の現状
ごみ処理手数料については、有料制が逆効果をもたらすという指摘がある。その仕組みについて、無料制、定額有料制、従量有料制の3つの制度を検討していく。またいくつかの事例を紹介する。

第12回 環境政策の応用 (2) 現在世代の負担と将来世代の負担について
国土の狭い日本において処分場建設には大きな制約があり、処分場の不足が指摘されるている。それを踏まえ、世代間の最適な廃棄物処分場利用とは、いったいどのようなものかの理解を深める。


第13回 環境評価について(1)
環境の価値とは様々なものがある。その価値について、具体的な環境を例に紹介する。そしてその経済的な意味を理解する。
 
第14回 環境評価について(2)
環境評価への顕示選好法、表明選好法および費用便益分析の理解と実際への適用を学ぶ。

第15回 持続的な社会について  不都合な真実か
環境と経済成長の両立は可能か、あるいは市場メカニズムを利用した諸政策の限界とは何かを考え、持続可能な社会に必要なものとは何を考えることができるようになる。
関連科目
この科目は、ミクロ経済学基礎,ミクロ経済学の応用であり、公共経済学とも関連の強い科目です。したがって、関連科目としてミクロ経済学基礎ⅠⅡ、ミクロ経済学、公共経済学を挙げておきます。
準備学習等の指示
知識の定着をねらい、小試験は抜き打ちで実施します。それに対応できるように、毎回、授業内容を復習・確認すること。また予習については、受講前には必ずテキスト及び配布資料を読んできてください。わからない用語などは 事前に調べてくるとより授業の理解度が高まります。約60分以上は予習にかけること。
また配布プリント内の練習問題は、自学自習に有効です。活用してください
教科書
栗山浩・馬奈木俊介著 『環境経済学をつかむ』 有斐閣

これとは別に授業内で各章ごとに冊子を配布します。
参考文献
(1) 日引 聡・有村俊秀著 『入門環境経済学』 中公新書
(2) 前田章著    『ゼミナール環境経済学入門』 日本経済新聞社
(3) 神取道宏著  『ミクロ経済の力』 日本評論社
(4) 安藤至大著  『ミクロ経済学の第一歩』 有斐閣

※文献は読んでほしい順に並べています。
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
小試験(授業中)及び定期試験を実施します。それが評価の軸となまります。その際、以下のことに留意してください。
①定期試験:60%.小テスト、レポートなどの評価:40%で評価の基本とします。
 小試験(授業期間中、3回実施)は、抜き打ちを原則としています。承知してください。
 定期試験、小試験とも持ち込み不可(参照不可)です。
②出席点の取扱いについては、・出席回数が 11 回以上からプラ ス点が評価に入ります。
但し、授業態度も考慮しながら、当然、マイナスとなることもあります。

なお、
①受講中,私語・飲食厳禁、守れない者については出席点を認めません。
②小試験、定期試験および出席点で合計100点を超える点数をとった場合、評価は100点とします。
 
実務経験と授業との関連
備考
受講心得:
①遅刻は厳禁。学生証を忘れた場合、遅刻、欠席等については、自己責任となります。こちらでは対応しません。
②広島経済大学学内定期試験細則に従い「出席回数が総授業回数の 3 分の 2 に満たない場合には、定期試験の受験を認めない場合があります。それを念頭に受講して下さい。
③講義中の私語は厳禁。受講中,私語・飲食厳禁、守れない者についてはi以後出席を認めません。講義中は携帯電話の電源をオフにしてください。講義中かばんなどは机の下においてください。
④ミクロ経済学基礎Ⅰを修得しておくことが望ましい。