シラバス情報

科目名
哲学Ⅱ
授業コード
14002
担当者名
田中 健
副題
哲学と現代Ⅱ
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2019年度後期
教職免許種類

授業内容
私たちは、生命のあり方に介入する技術力を手にし、大量の情報を高速で処理することによって成り立つ便利な生活を送っています。しかし、それにもかかわらず、正義や公正を実現すること、また多くの個人が幸福になり得る社会のあり方を整備することが、充分にできているとはいえません。それらは近代以降の社会の課題であり、その重要性は現代においても失われていません。社会のあり方が複雑になったぶんだけ、課題の達成が困難になった面すらあります。そのことは、例えば環境問題の深刻さを思い浮かべていただければ、どなたにもわかることでしょう。
この授業では、現代社会の様々な問題について、先哲がどのように論じてきたかを詳しく説明し、その有効性と限界を考えていきます。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
様々な社会問題の背後に横たわっている、「効率と公正」、「対立と合意」、「協調」、「持続可能性」などの理念が哲学の領域においてどのように論じられてきたかを正しく理解し、その理解に基づいて、現代を生きる私たちがどのような社会を目指すのかを思考し、議論できるようになること。

【身につく力】「知識・理解」「論理的思考力・分析力」 
授業計画
第1回  ガイダンス/哲学とは
第2回 現代社会における公共性(1)‐「公共圏」の可能性(アーレント、ハーバマス)
第3回 現代社会における公共性(2)‐文化産業の役割‐(ハーバマス、ホルクハイマー=アドルノ) 
第4回 現代社会における情報のあり方‐「疑似イベント」と「シミュラークル」(ブーアスティン、ボードリヤール)
第5回 善と悪‐「道徳の系譜学」(ニーチェ)
第6回 勤勉という徳の成立‐働くことは尊いか(ウェーバー、ラッセル)
第7回 戦争について‐暴力をどう評価するか(カント、フロイト、オルテガ、ベンヤミン)
第8回 動物の権利‐種差別の超克(シンガー)
第9回 自由と平等(1)‐何が問題か
第10回 自由と平等(2)‐リベラリズム(ロールズ)
第11回 自由と平等(3)‐リバタリアニズムとコミュニタリアニズム(ノージック、サンデル)
第12回 環境‐未来への責任(ヨナス)
第13回 対立と合意‐討議倫理学(ハーバマス)
第14回 幸福とは‐(アラン、ラッセル)
第15回 貧困と公正‐潜在能力アプローチ(セン)
関連科目
哲学Ⅰ
準備学習等の指示
講義では、教科書の内容を解説・補足していきます。
次回の授業内容を予告しますので、教科書に目を通し、「何が問題となっているか」を理解したうえで、「疑問点」を明確にしておいて下さい。
また、講義の後、配布資料と教科書から授業内容の復習を行なって下さい。 
予習・復習ともに30分程度の時間をかけて下さい。 
教科書
『テオーリア 最新倫理資料集 新版』(第一学習社、2017年)
参考文献
柿木伸之『共生を哲学する』(ひろしま女性学研究所、2010年)
P.シンガー『私たちはどう生きるべきか』(ちくま学芸文庫、2013年)
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
定期試験60%、コメントペーパー等40%の割合で評価します。
 
実務経験と授業との関連
備考