教員名 : 餅川 正雄
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科目名
税務会計論
授業コード
22057
担当者名
餅川 正雄
副題
ビジネスで活かせる税知識
単位数
2単位
配当年次
3年
開講学期
2021年度後期
教職免許種類
高校一種(商業)
授業内容
租税実体法である「所得税法」・「法人税法」・「相続税法」・「消費税法」の国税4法について、その解釈と適用をテーマとした日本の租税法に関する基礎科目です。租税(税金)制度は、公平で公正なものでなければなりません。言い換えれば、租税法は国民の幸福に向かっていると言えるものでなければならないということです、
法律の学習は、まず専門用語に慣れる必要があります。そして、租税法では「法の正義」としての公平性が前提になります。 まず、それぞれの租税法の基本的な構造と計算の仕組みを講義します。課税の根拠がどこにあるのかを検討し、様々な考え方があることを提示し、担税力に応じた公平な課税を実現するという視点から、現時点での問題の所在を明らかにします。租税法の基本的な条文を参照しながら、現行の租税制度の内容について授業を展開しますが、常に「なぜ?」という問いを大事にします。所得税法では、所得とは何かを大きな問いとして考えてもらいます。例えば、所得税では、なぜ所得区分をするのか、超過累進税率が採用されるのかなどを検討します。相続税では、法定相続人と法定相続分という民法の考え方を解説したうえで、実際に相続税の計算がどのように行われているのかを演習によって学びます。最後に消費税(付加価値税)の前段階控除方式の考え方を理解したうえで、過去の裁判例をもとに問題点を整理していきます。 到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
租税法の学習を通して、リーガルマインドを育成します。
1. 租税法の目的は何かを簡潔に説明できるようになる。 2. 所得税法の基本構造とその特徴を理解し、問題点を指摘できるようになる。 3.所得税法上の「所得とは何か?」を理解し、基本的な所得税の納税額が計算できるようになる。 4.法人税法では、法人擬制説と法人実在説の違いを理解し、法人税の課税根拠を説明できるようになる。 5. 企業会計と租税会計の関係を理解し、税効果会計の仕訳が切れるようになる。 6. 相続税法の基本構造とその特徴を理解し、問題点を指摘できるようになる。 7.相続法における「法定相続とは何かを理解し、遺産相続の割合と相続税額を計算できるようになる。 8.消費税法の基本構造とその特徴を理解し、問題点を指摘できるようになる。 【身に付く力】 「知識・理解」、「論理的思考力・分析力」 授業計画
第1回.【税法入門 ① 】 なぜ租税法を学ぶのか(租税の意義)
−租税法を学ぶ目的は、リーガルマインドを身に付けることか? 第2回.【税法入門 ② 】 租税法の基本原則(租税公平主義と租税法律主義) −間接税(消費税)における租税公平主義とは? 第3回.【税法入門 ③ 】 税法の解釈・適用と実質主義(経済的観察法) −レーシングカー事件(最高裁判決;平成9年11月11日)の内容は? 第4回. 【所得税法 ① 】 所得概念と課税のタイミング(包括的所得概念と収入の帰属時期) −違法な利得への課税の問題とは? 第5回.【所得税法 ② 】 個人所得に対する課税Ⅰ(所得税の構造) −誰が所得税の納税義務を負うのか? 第6回. 【所得税法 ③ 】 個人所得に対する課税Ⅱ(10種類の所得区分と14種類の所得控除) −給与所得と一時所得の違い、扶養控除・医療費控除等の控除制度とは? 第7回. 【所得税法 ④ 】 個人所得の申告納税制度(源泉徴収と確定申告) −確定申告をする必要があるのはどのような人か 第8回.【法人税法 ① 】 法人所得に対する課税Ⅰ(法人税の構造) −法人税の課税根拠と課税所得の範囲は? 第9回.【法人税法 ② 】 法人所得に対する課税Ⅱ(決算確定主義) −法人税法第22条(損金・益金)と第74条(決算確定主義)の内容は? 第10回. 【法人税法 ③ 】 税効果会計(繰延税金資産と繰延税金負債) −税の効果とは嬉しさ悲しさを和らげることか? 第11回. 【消費税法 ① 】 消費に対する課税Ⅰ(消費税の課税の仕組み) −税額転嫁と仕入税額控除制度とは何か? 第12回.【消費税法 ② 】 消費に対する課税Ⅱ(現行消費税制度の問題点) −消費税のもつ逆進性をどのように緩和するのか? 第13回.【相続税法 ① 】 財産に対する課税Ⅰ(相続税の課税根拠と課税方式) −民法(相続法)の規定による法定相続分による課税とは? 第14回.【相続税法 ② 】 財産に対する課税Ⅱ(現行の相続税制度の問題点) −相続税対策としては何があるのか? 第15回. 【租税手続法とまとめ】 税務調査手続と租税救済手続 −納税者の権利は守られているのか? 関連科目
中級簿記、中級簿記演習
準備学習等の指示
予習として毎回1時間程度、教科書を読んでください。復習としては、授業で学んだ内容を振り返り、自分で問いをつくって、自分で調べ考えるために1時間程度必要となります。
具体的な予習の内容は次の通りです。 ・授業前に教科書の該当ページを通読し、租税法の基本用語やキーワードについて調べておいてください。 (例;税源、租税客体、租税主体。担税者、課税単位、申告納税方式、賦課課税方式など) ・租税法の全体構造を把握するために、各租税法がどのような構成になっているかをノートに書き出しておいてください。インターネットを有効に活用してください。 ・所得税法、法人税法、相続税法、消費税法の中で重要な条文をいくつか選んで書き出し、その解釈を調べてみてください。(例;納税義務者、課税標準、税率、確定申告、所得控除、税額控除など) ・租税の課税根拠は何かを常に念頭に置きながら、「公平な課税になっているのか?」という視点で考えていってください。そして疑問に思う点については、インターネットや専門書などによって調べてみてください。 ・税務訴訟においてどのような判決が出ているのかを3つ以上調べて、その判決の根拠がどこにあるのかを各自で検討してください。 教科書
高橋 創(2019) 『図解いちばん親切な税金の本19-20年版』ナツメ社,¥1,500-
( ISBN978-4-8163-6699-4) 参考文献
西山由美他 (2011) 『はじめての租税法』成文堂 ¥2,000- (IISBN978-4-792-30507-9)
金子 宏 (2019) 『租税法(第二十三版)』 弘文堂、¥7,020-(IISBN978-4-335-31541-1) 三木義一(2018)『日本の税金(第3版)』岩波書店 ¥907-(IISBN978-4-004-31737-1) 須田邦裕(2018) 『マンガでわかる 税金のすべて』 成美堂出版 ¥1,500- ( ISBN978-4-415-32519-4) 定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
定期試験100%で評価します。
実務経験と授業との関連
備考
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