シラバス情報

科目名
禅(ZEN)で元気なこころとからだをつくろう a
授業コード
35003
担当者名
岡本 貞雄、安部 貴彦
単位数
2.00単位
配当年次
1年
開講学期
2022年度前期
教職免許種類

授業内容
【授業内容】
精神・メンタリティーに関する情報は巷に溢れかえっています。しかし、実際に自分の心をのぞきみる体験をする機会はなかなかありません。
本授業では、坐禅の実習を通し、自らの「こころ」を見つめ現代を生き抜くちからをつけることを目指します。禅(ZEN)はいわゆる宗教儀礼とは全く異なるものです。実際に世界中のあらゆる人たちが実践しています。医療・福祉・教育や政治・経済、スポーツに至るまでその道を究めた偉人の多くは、禅を直接・間接に体験しています。
とかく閉鎖的・時代遅れなイメージを持たれがちな禅ですが、本来とても日常的で活気に富んだ世界であること知り、何かを感じ取っていただきたいと願っています。

【授業方法】
禅の修行は先生と学生の一対一のやり取りが基本です。しかしこの授業では私を含めた参加者全員が互いに刺激し合いながら学び合います。坐禅・歩行禅の体験をメインとし講義中一切の私語は禁止です。15コマの内、3〜4回小レポートを提出して頂き、提出されたレポートには担当教員がコメントを記して返却します。
資料として、禅の実践の道筋を十枚の絵で表した「十牛図」を使用します。 
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
本授業は、興動館科目の4つのフィールドの内、元気力に分類される授業であり、到達目標は以下のようなものです。
(1)坐禅の実習を通じて心と体の調和をはかる。
(2)自らの「こころ」を見つめ、ありのままの自分を受け入れる体験をする。
(3)「いのち」の尊厳に目覚め、人生を自らの力で生き抜く気概をもつ。 
【身につく力】 問題解決力 ,斬新な発想をする力 ,チャレンジする力
授業計画
第 1 回 オリエンテーション
      坐禅の手ほどき。呼吸法・姿勢・調心についてのガイダンス・実践。
      (以降、毎回坐禅・歩行禅の実習を行います。)
第 2 回 禅の位置づけ・歴史、現代のZENについて
      2600年の歴史を持つ仏教。その教えの根幹をなす禅が今もって世界中の人々に親しまれる理由を
      学びます。
第 3 回 禅とは何か
      牛を悟りに、子供を修行者に見立て禅の修行の段階を表した「十牛図」を参考に、本講の過程を
      見渡します。
第 4 回 禅のきっかけ
      真実の自分を知ろうとするが全くわからず途方に暮れる。まずは疑問を持つこと、ここがスター
      トです。現状に満足しているのであれば、禅は必要ありません。
第 5 回 禅を知る
      教典・古人の智恵を学びます。これを十牛図では「見跡」といいます。
第 6 回 禅との出会い
      先人の智恵に出会い、悟りの姿に触れる。悟りとは決して高尚なものではなく、日常生活の中に
      出会うきっかけがあります。
第 7 回 禅を理解する
      頭で禅を理解する。しかし禅は実践を伴わなければなりません。心と体のバランスをとることの
      難しさを体験します。
第 8 回 禅を体得する
      心と体のバランスを整えることが出来て初めて悟りと言えます。行動を起こすことの重要性に気
      づきましょう。
第 9 回 悟りの継続にチャレンジする
      ようやく悟りを我がものとします。すなわち坐禅が終わった後も継続して心身のバランスが保た
      れた状態にあるということです。しかし、ここはまだ仮のゴールです。
第10回 謙虚であり続けるために
      悟った、気づいたという意識を消し去り、ただ自分自身のみがあるという状態。油断するとすぐ
      に慢心が起こります。常に謙虚であらねばなりません。
第11回 無とは何か?
      何もないことが「無」なのではありません。善悪・明暗・陰陽等の相対概念から解き放たれ、
      真の自由を得ること。これが「無」の正体です。
第12回 本当の自分に出会う
      「旅の目的は出発点に帰ることである」、といいます。虚栄、卑下、過剰な自信や臆病から解き
      放たれたとき、私たちは自由自在な人生を送ることができます。
第13回 よろこびを共に
      自分の得た幸福は他人と分かち合うことで何倍にもなります。仙人のように奥山に閉じこもって
      生涯を過ごすのではなく、現代社会に飛び込んで元気に生活していくことこそ禅(ZEN)なので
      す。
第14回 禅と現代
      現代における禅の位置づけを知ります。禅は経済、芸術、スポーツ等の分野で生き生きと躍動し
      ています。    
第15回 まとめ
      本講を通して得た自分自身の具体的な変化、例えば生活習慣・人間関係、について報告し合いま
      す。 
関連科目
日本の宗教
日本の思想と文化
準備学習等の指示
この授業は、興動館科目の「元気力フィールド」の授業です。毎回、元気力フィールドの達成目標を意識して授業に臨んでください(①失敗から元気に立ち上がるための意欲・気概をもつ、②自分の長所を発見し、自分の将来に展望をもつ)。 身体的に不調だとうまく座禅ができませんので、体の調整を前日からしっかりやってください。毎時間禅のテキストが配られますので、受講後は内容をしっかり定着させるために、禅の関係図書を2時間程度は読み、内容をしっかり定着させてください。
教科書
教科書は使用しません。必要なものがあれば、授業でそのつど指示します。
参考文献
小寺の灯 福井ふみ子 大東出版社
濱田徹道講話録 濱田徹道 ノンブル社
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
(1) 平常の出席状況と受講態度 (30%)(2) 坐禅中の態度・意欲(40%) (3) 坐禅後の発言・レポート(30%)の内容を総合的に評価します。 
実務経験と授業との関連
岡本貞雄は約50年の坐禅経験を持っています。安部貴彦は禅の専門道場で15年の修行経験と、お寺の住職として、長い禅の実践経験を持っております。この経験を生かし、坐禅の実践を通じてて、禅で身に着けられるものをできるだけ多く皆さんに伝えていきたいと願っております。
備考
定員を30名とします。

資料はこちらで準備します。
坐禅に加え、歩行禅(ゆっくり呼吸に合わせながら歩いて瞑想を行う)も実施します。
足腰に自信のない方でも履修は可能です。
服装には注意が必要です。
 1.トレーナーの上下など、坐禅に適した緩やかな服装にしてください。
 2.靴下は教室に入る前にとってください。
 3.身の回りの金属類(時計、指輪・腕輪・リングなど)も坐禅中は外しましょう。

興動館科目では、経済産業省が推奨する「社会人基礎力」の伸長度をはかるため、「プログレスシート」を作成していただきます。
※社会人基礎力とは…組織や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力