シラバス情報

科目名
ミクロ経済学基礎Ⅱ
授業コード
21008
担当者名
新垣 繁秀
副題
市場における価格と数量の決定
科目ナンバリング
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度後期
教職免許種類
中学一種(社会)、高校一種(公民)

授業内容
ミクロ経済学基礎Ⅰでは、家計と企業行動について、また市場の働きについての基本的な内容を学んだと思います。家計と企業の最適な意思決定、そして、それら家計や企業が取引している市場における取引量や価格がどのように決まるか、ということを学んだはずです。
本講義では、ミクロ経済学基礎Ⅰを踏まえ、個人の選択を中心に、合理的意思決定、さらには市場経済のいくつかのことについて、さらに深く触れていきます。まずは、市場の働きについての基本的な内容、すなわち買い手と売り手が取引している市場では取引量や価格がどのように決まるか、ということを学びます。そこでは、市場のメリットを説明します。その後、独占、寡占のこと、その他、市場がうまく働かなくなる問題について取りり上げ、それらを経済理論の枠組みで解読する講義内容を用意しています。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
本講義では、おおよそ次にあげる2点を身に着けることを目標としております。
 「知識・理解」
 「論理的思考力・分析力」

上記の2点を詳しく書けば、次のことであります。
1.市場取引という、当たリ前に行っている選択行動について、経済学的に観る視点を培いながら、必要な基本的知識の修得が出来る。
2.経済学の基本は身近にあることを認識させ、経済学的に現実を観る視点を培いながら、論理的思考の出来る力を培う。
3.人々の意思決定という視点から現実経済を観ることができ、その知見をもとに様々な局面で応用できる力をつける。
授業計画
第 1 回  ミクロ経済学基礎を学ぶこと : 経済学は選択の学問!
経済学を学ぶ理由を理解するために、希少性、選択を理解し、それを日常の様々なところで応用出来るようにする。

第 2 回 機会費用、合理的選択(限界分析)
機会費用、限界分析(合理的行動)について学び、どのようなところで用いられているかについて説明できるようにする。またミクロ経済学基礎Ⅰでも学んだ家計と企業の主体的均衡モデルを理解する。

第3 回 市場メカニズム : 完全競争市場のメリット
市場メカニズム、パレート最適などの市場経済の基本事項を学び、完全競争価格が何ゆえに効率的なのかを理解する。また市場規制の非効率性などを需要曲線、供給曲線そして余剰概念を道いて理解する。

第 4 回 完全競争市場への政策介入
完全競争を前提とした時、政府の政策介入が市場のパフォーマンスをいかに損なうかを特に余剰分析を用いて考え、市場のメリットを理解する。

第 5 回 不完全競争 : 独占 - 独占企業の利潤最大化行動、独占価格 -
不完全競争とは何か、独占について理解し、独占企業の利潤最大化行動を説明できるようにする。さらに価格差別化戦略について、現実の企業の価格戦略を理解する。

第 6 回 不完全競争 : 独占 - 独占の弊害 -
独占企業は生産量を抑え価格を上げることで利益を増やす。これは消費者に損失を与え、社会的余剰の観点からも非効率になる。独占とはどのようなものか、独占企業の利潤や社会的損失などをグラフや数値例で学び、独占の弊害、そして独占禁止法の役割について理解する。

第7 回 不完全競争 : ゲーム理論入門
寡占市場の分析のための道具立てとして、基本的なゲーム理論を学ぶ。特にナッシュ均衡、囚人のジレンマ、トリガー戦略などゲームの基本概念を理解する。

第8回 不完全競争 :  寡占市場とゲーム理論入門
国と国との貿易交渉やオークション(せり)での駆け引き、新規参入時の価格戦略など、ゲーム理論は幅広く応用されていることを学ぶ。その後、相互戦略の状況のもとにある寡占企業が、どのようにして行動を決めるかを理解する。

第9回 不完全競争 : 戦略的状況での価格付け、カルテル
戦略的状況での寡占企業の価格付けをゲーム理論で理解する。カルテルがいかに消費者へ損失をもたらしているかを理解する。また第6回で学んだ内容を再確認する。

第10回 リスクと情報の非対称 : 期待効用仮説
リスクとは、さらには期待効用仮説とは何かを学ぶ。そしてリスク回避的行動と保険制度との関係を理解する。

第11回 リスクと情報の非対称 : モラルハザード、逆選択、 シグナリング
情報の非対称性があるときの取引において問題とされるモラルハザード 逆選択、シグナリングをしっかりと学び、不完全情報による消費者余剰の低下、あるいは逆選択とモラルハザードなどを通して、経済活動における適切な情報発信の重要性について理解する。

第12回 外部性とコースの定理 
市場取引にかかわらない経済主体に何らかの効果がもたらされることを外部性と呼ぶ。経済主体が外部性を考慮しないと非効率的となるために、課税(ピグー税)、補助金により内部化する必要がある(コース定理)。外部性について理解し、ピグ—課税、コース定理がどのように適用されるかを理解する。

第13回 公共財の最適供給
公共財には、道路などの社会資本や警察・消防などの公共サービスがある。これらには非排除性があり、料金を支払わなくても利用可能である(フリーライダー問題)。そのため、公共財を市場で供給すると、過小供給となるために、政府や自治体が供給し、費用は税金で賄っている。最適な公共財の提供のために私たちができることを考える。


第14回 市場機構と国際貿易  : 比較優位と関税政策
国際貿易を行うことによって、どのような利益が生まれるか。また自由貿易が行われるとすべての国の経済厚生が高まることを学ぶ。また国際貿易の理論的根拠となっている比較生産費説を理解する。

第15回 貿易・関税政策 : 保護政策と自由貿易
関税や数量制限の貿易政策がもたらす効果を理解する。ここでは保護政策は短期的に自国の雇用や生産が高まるが、長期では世界貿易を縮小させ、損失が大きくなることを理解する。
関連科目
この科目は、ミクロ経済学基礎Ⅰとミクロ経済学との橋渡しとなる科目です。したがって、関連科目としてミクロ経済学基礎Ⅰ、ミクロ経済学をまず挙げておきます。また、公共経済学、産業組織論,、国際経済学(貿易論)はこの科目の応用分野なので、この2科目を受講すると一段と、ミクロ経済学の理解が深まります。
準備学習等の指示
知識の定着をねらい、原則、小試験は抜き打ちで実施します。それに対応できるように、毎回、授業内容を復習・確認すること。また予習については、受講前には必ずテキスト・参考図書及び配布資料を読んできてください。わからない用語などは 事前に調べてくるとより授業の理解度が高まります。約60分以上は予習にかけること。
また配布プリント内の練習問題は、自学自習に有効です。活用してください
教科書
参考文献(1)を基に事前配付教材を作成しています。huenaviへアップしますので、授業前に印刷をしてください
できましたら(1)のテキストは一読できればと思います
参考文献
(1)レヴィット著 『ミクロ経済学発展編』 東洋経済新報社
(2)安藤至大著 『ミクロ経済学の第一歩』 有斐閣
(3)神取道宏著 『ミクロ経済学の力』 日本評論社
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
小試験(授業中)及び定期試験を実施します。それが評価の軸となまります。その際、以下のことに留意してください。
①定期試験:60%
 定期試験、小試験とも持ち込み不可(参照不可)です。
⓶小試験、授業への参加度:40%
 小試験、レポートなどの評価:40%で評価の基本とします。
 小試験(授業期間中、2回から3回実施)は、抜き打ちを原則としています。承知してください
なお、
①受講中,私語・飲食厳禁、守れない者については出席点を認めません。
②小試験、定期試験および参加点で合計100点を超える点数をとった場合、評価は100点とします。
実務経験と授業との関連
備考
受講心得:
①遅刻は厳禁。学生証を忘れた場合、遅刻、欠席等については、自己責任となります。こちらでは対応しません。
②広島経済大学学内定期試験細則に従い「出席回数が総授業回数の 3 分の 2 に満たない場合には、定期試験の受験を認めない場合があります。それを念頭に受講して下さい。
③講義中の私語は厳禁。受講中,私語・飲食厳禁、守れない者についてはi以後出席を認めません。講義中は携帯電話の電源をオフにしてください。講義中かばんなどは机の下においてください。
④ミクロ経済学基礎Ⅰを修得しておくことが望ましい。