教員名 : 山根 智沙子
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科目名
マクロ経済学基礎Ⅱ
授業コード
21014
担当者名
山根 智沙子
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度後期
教職免許種類
中学一種(社会)、高校一種(公民)
授業内容
本講義は、「マクロ経済学基礎Ⅰ」を踏まえて、マクロ経済変数のレベルが、どのようなメカニズムによって決まるのかをより詳しく解説します。さらに、増税や減税、公共投資、あるいは貨幣供給量の増減といった経済政策が、マクロ経済変数に対してどのような効果をもたらすのかを明らかにします。例えば、インフレ懸念が加速されるとき、どのような経済政策をとればよいかを示してくれるのが、マクロ経済学です。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
本講義を通じ、受講生は以下の3点ができるようになることを目標とします。
1.GDPや経済成長率、失業率、金利、物価、為替などのマクロ経済変数を理解し説明できるようになること 2.現実の経済で実施されている様々な経済政策は、マクロ経済理論から導かれていることを理解すること 3.学術的な観点から、私たちの日常生活に強い影響を与える経済政策について深く理解し、マクロ経済学をより身近な学問であると実感するとともに、日本経済が直面している課題について議論ができるようになること 【身につく力】「知識・理解」「論理的思考力・分析力」 授業計画
第1回 マクロ経済学基礎Ⅱのねらい
マクロ経済学とはどのような学問か、また経済入門やマクロ経済学基礎Ⅰで学んだGDPや物価、経済成長率について再確認することを目指します。 第2回 国民経済計算:国民所得の三面等価 マクロ経済学では、GDP、マネーサプライ、失業率、物価水準、貿易収支、経済成長率などさまざまなマクロ経済変数を取り扱います。それぞれの変数がどのように定義され、どのような意味を持つのかを説明していきます。 第3回 乗数分析:GDPの決定メカニズム(1) 有効需要の原理、生産物市場の均衡条件、消費関数を説明し、GDPがどのように決定されるかを考えていきます。 第4回 乗数分析:GDPの決定メカニズム(2) 消費と貯蓄の関係から貯蓄関数を定義し、生産物市場の均衡条件、さらには貯蓄関数と均衡GDPの決定について図を用いて確認していきます。 第5回 乗数分析:政府支出乗数と投資乗数 政府支出や投資の拡大はGDPを引き上げますが、その効果の大きさがどれくらいになるのかを考えていきます。 第6回 乗数効果:乗数効果の波及効果 政府支出や投資の増加→GDPの増加→消費の増加→GDPの増加・・・というように、政府支出や投資の変化がどのように波及していくかを考察していきます。 第7回 生産物市場の均衡とIS曲線:投資関数 投資に関する意思決定について考察していきます。具体的には、投資水準と利子率の関係について直感的に理解することを目指します。 第8回 生産物市場の均衡とIS曲線:IS曲線 生産物市場における利子率とGDPの関係を表すIS曲線を導出し、利子率が変化するとき、その変化に応じて、生産物市場を均衡させるGDPの水準がどのように変化していくかを考察していきます。 第9回 貨幣の機能 貨幣とは何か、貨幣の機能を説明し、貨幣とみなすことができる資産は何かを考えていきます。 第10回 貨幣需要とは 資産を貨幣と債券の2つに分類し、両者の性質の違いを比較しながら、どれだけの貨幣を保有することが最適なのかを考えていきます。具体的には、貨幣の特徴に着目し、貨幣保有の動機や流動性のわなについて説明します。 第11回 貨幣市場の均衡とLM曲線:利子率の決定 GDPを一定として、貨幣市場において利子率がどのように決定されるのかを考え、貨幣市場における利子率とGDPの関係を表すLM曲線について説明していきます。 第12回 貨幣市場の均衡とLM曲線:LM曲線 GDPが変化するとき、その変化に応じて、貨幣市場において利子率がどのように変化していくかを考察していきます。さらに、通貨供給量を増やしたときLM曲線はどう変化するのか、そのプロセスについて説明していきます。 第13回 生産物市場と貨幣市場の同時均衡 生産物市場と貨幣市場を同時に均衡させるGDPと利子率がどのように決まるのかを明らかにしていきます。さらに、不均衡における利子率とGDPの調整についても考察していきます。 第14回 財政政策と金融政策の効果 政府支出と通貨供給量が変化したとき、すなわち、財政政策や金融政策が実施されたとき、生産物市場と貨幣市場を同時に均衡させるGDPと利子率がどのように変化するのかを考えていきます。 第15回 財政政策と金融政策の効果:2つの特殊なケース 流動性のわなが存在するケースと、利子率が変化しても投資水準が変化しない特殊なケースにおける政策効果について考えていきます。 関連科目
マクロ経済学基礎Ⅰ、マクロ経済学、経済政策論基礎
準備学習等の指示
毎回授業の最後に練習問題を出します。この練習問題を中心に約60分以上は復習にかけましょう。授業の理解度がより深まります。
教科書
教科書は使用しません。毎回レジュメを配布します。
参考文献
家森信善(著)『マクロ経済学の基礎 ベーシック+』中央経済社
石川秀樹(著)『新経済学入門塾』中央経済社 賀川昭夫・坪沼秀昌・片岡孝夫(著)『FIRST STEPマクロ経済学』有斐閣ブックス 定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
授業態度・授業中に実施する小テスト30%、定期試験70%で総合的に評価します。
また出席回数が11回以上の学生には加点をします。ただし、最大100点までとします。 小テストについては、実施後すぐに正解を解説します。 実務経験と授業との関連
備考
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