シラバス情報

科目名
出版メディア論
授業コード
25017
担当者名
阿部 純
副題
出版メディアの基礎
科目ナンバリング
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度後期
教職免許種類

授業内容
 本講義では、出版メディアの中でも日本の戦後の雑誌空間と書店を中心に、出版メディアがどのように社会の結節点として機能してきたかについて概観します。
 近年では、出版メディアのある場所も大手書店だけでなく、独立系書店やカフェ、そしてメディア・イベント化したものまで、さまざまな形態を見せてきていることから、講義の前半では出版メディアのある場所に焦点を当てていきます。第5回には、広島中区で本屋「READAN DEAT」を運営する清政光博さんをお迎えし、個人書店を広島に構えるまでの経緯や、現在の広島の出版事情について伺います。
 後半では、出版メディアを支える技術としての印刷や、自主流通冊子を担ってきたメディア装置についても触れ、これらの学修を通じて、出版メディアが担ってきた役割、そして今後担っていくことになるであろう役割について考えていきたいと思います。その後、戦後の雑誌空間について、ファッション誌とカルチャー誌に焦点を当てて整理します。期末演習では、雑誌分析の方法について学びます。卒業論文でファッションや音楽などの文化事例を扱いたい方には、ぜひ身につけてほしい分析手法です。

 本講義では、授業の終わりに毎回小レポートを提出してもらいます。小レポートの内容については、次の講義の冒頭で振り返りを行います。そして、中盤と後半にグループワーク演習を取り入れ、出版メディアのある場所のリサーチと出版メディアの内容分析とを行います。
 
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
【到達目標】
・出版・印刷メディアの具体事例から、現状と課題を把握し、自身の言葉で説明できるようになること。
・雑誌の表象分析の手法を理解し、その手法を使って分析できるようになること。


【身につく力】「知識・理解」「論理的思考力・分析力」「プレゼンテーション能力」
授業計画
第1回 オリエンテーション
第2回 出版概況:自費出版からオンライン書店まで
第3回 書店:書店と取次、独立系書店
第4回 演習1:出版メディアのある場所について考える
第5回 外部講師による講義:広島界隈の出版事情
第6回 図書館:地域コミュニティをつなぐ拠点
第7回 演習1:発表+ディスカッション

第8回 印刷1:グーテンベルグによる印刷技術
第9回 印刷2:瓦版・活字・リソグラフ
第10回 同人文化1:ガリ版文化・運動・喫茶店
第11回 同人文化2:同人誌・リトルプレス・zine・海外の出版状況
第12回 雑誌文化:ファッション誌の変遷
第13回 演習2:誌面デザインの分析 
第14回 演習2:誌面デザイン分析発表用資料の整理
第15回 演習2:発表・ディスカッション+まとめ
関連科目
「メディア論」「コミュニケーション論」「メディア文化史」など
準備学習等の指示
配布したプリントを再読するなど、前回分の予習(20分程度)をしてから授業に臨むようにしてください。演習の回の前後では、内容分析をする雑誌の調達や本のある場所の調査が予習・復習として入ります(30分程度)。
教科書
教科書は使用しません。毎回プリントを配布し、スライドを用いて講義します。
参考文献
印刷博物館(2020)『日本印刷文化史』講談社
鈴木涼美(2022)『JJとその時代 女のコは雑誌に何を夢見たのか』光文社
難波功士(2009)『創刊の社会史』筑摩書房
ばるぼら ・野中モモ(2017)『日本のZINEについて知ってることすべて』誠文堂新光社
福嶋聡(2016)『書店と民主主主義』人文書院
藤本幸夫(2021)『書物・印刷・本屋: 日中韓をめぐる本の文化史』勉誠出版
松本恭幸編(2022)『地域でつくる・地域をつくる メディアとアーカイブ』大月書店
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
期末試験(60%)、演習時の提出物・プレゼンテーション(25%)、授業への参加度(15%)
出席回数が総授業回数の3分の2に満たない場合には、定期試験の受験を認めません。
実務経験と授業との関連
備考
本授業では、受講生のみなさんの積極的な参加を求めていますので、関係のない私語や居眠りは厳禁です。自身にとって身近な出版メディア(雑誌やマンガ、書店など)と比較をしながら、授業を聴くようにしてください。