シラバス情報

科目名
コミュニケーションと文化
授業コード
25031
担当者名
中村 克洋
副題
日本語の特質と文化の形成
科目ナンバリング
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度後期
教職免許種類

授業内容
日本語は、世界の言語の中でも特異なコミュニケーション言語だといわれます。発音、表記、会話表現等、どれをとっても、特異です。極端に少ないモーラ(音節)は、同音異義語を作り、そこから、言霊の信仰が生じます。民族⇔言語⇔文化のスパイラルは、世界に共通するものですが、特に日本という極東の国におけるそれは極端であり、研究に値します。本授業では、日本語の特質を研究する事で、「日本」という国の過去、現在を理解し、未来を見通していきます。授業の前半で、中村克洋が手掛けたNHKの番組「歴史誕生」79本の中から、「コミュニケーションと文化」に密接にかかわるものを視聴し、内容と気づきを書き出します。そして、授業後半で、それについての講義を行い、最後に、適宜、小テストを実施し、解答を次週の授業の冒頭で行います。また、その日のテーマに即して、ミッションシートと名づけた用紙に、学習ポイントを記入、提出をしてもらいます。
【課題や小テストに関するフィードバック】
ミッションシートの模範解答例は、次週の授業の冒頭で解説付きで提示します。
 
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
「メディアとしての〝日本語〟」に象徴的に表れてくる日本〝文化〟と日本〝民族〟を、日本語表現の特異性を通して、大局的に理解することで、この国が見えてきます。日本語コミュニケーションの特異な世界で生きている自分を認識し、あわせて日本という国の特異性を理解することによって、自分や国家を、極端な偏見でミスリードしない人材となる事が到達目標です。
【身につく力】「知識・理解」「コミュニケーション能力」「プレゼンテーション能力」 
授業計画
第1回『利休茶室の謎』オリエンテーション 《日本人の論理や規範・文化と日本語の研究》
第2回『加賀百万石の救世主』前田利常の藩経営 《勤勉・モーレツサラリーマン像のルーツ》
第3回『大物主の謎』日本人の「怨霊信仰」《出雲大社と大国主命》からの考察
第4回『百人一首のメッセージ』《"ものの名"というコミュニケーション手段》
第5回『桓武天皇怨霊と戦う』《"コトダマ"という日本文化》
第6回『ニッポンの地価ここに生まれる』 《日本人の土地の概念と日本文化の通史》研究
第7回『日本でおカネが生まれた日』 《〝和同開珎〟に見る言語とその概念の成り立ち》
第8回『解読された謎の国書』【和をもって貴しとなす】元寇と朝廷 《〝神風〟という信仰》
第9回『ロシア皇太子襲撃さる』露皇太子襲撃事件の 《風評と日本人》研究
第10回『関ヶ原開戦前夜のシナリオ』日本人の道徳文化の変遷の考察《“裏切り”の歴史的変遷》
第11回『ヤマトタケルと白鳥伝説』縄文文化と弥生文化《武力的征服と文化的所制覇》事例研究
第12回『名君が失脚する時』 《組織におけるロスコミュニケーション》の事例研究
第13回『天下の台所をつくった男たち』淀屋と住友 《“商家の家訓”近代経営理論の前夜》
第14回『大江戸天下普請』将軍家光の威光 《権威づけの日本的手法》研究
第15回『大江戸100万都市』《長屋のコミュニケーション・江戸期庶民文化》  
関連科目
メディアビジネス特講I
準備学習等の指示
前回の授業内容を踏まえて、新しい展開を積み重ねていくという授業展開なので、復習を1時間すること。 
教科書
特にありません。その都度、資料を配布します。 
参考文献
「金田一春彦著作集」(第一巻) 金田一春彦著 玉川大学出版部  「日本語上・下」 金田一春彦著 岩波新書 「実践言語技術入門」 言語技術の会編 「逆境をチャンスにする発想と技術」 中村克洋著 ダイアモンド社 「逆説の日本史」①②③ 伊沢元彦著 小学館「歴史誕生」(全15巻NHK歴史誕生取材班)角川書店  
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
定期試験:70% 小テスト・リポート・授業態度:30% 
実務経験と授業との関連
歴史は、原因と経過と結果が一目瞭然としている、非常に重要な「生き方の指針」です。本授業は、私がNHKでキャスターとして担当した歴史番組の中から、日本の独特のコミュニケーションが、日本の文化に与えた顕著な影響を通して、日本人を見つめ直すという授業です。担当アナウンサーでしか語り得ない歴史の事情話を「コミュニケーションと文化」という視点を通して提示し、これからの自分たちの文化やコミュニケーションとの関わりについて、テーマごとに「生き方」を見出していこうと思います。
備考