教員名 : 餅川 正雄
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科目名
商業科教育法Ⅱ 【教職】
授業コード
51008
担当者名
餅川 正雄
単位数
2.00単位
配当年次
3年
開講学期
2023年度後期
教職免許種類
高校一種(商業)
授業内容
この授業の内容は、「①商業科の各科目の目標と指導内容を学ぶこと」と「②商業科の専門科目の教材研究の方法を身に付けて授業展開ができるようになる」の二つです。①については、高等学校における商業教育は、どのような分野を対象とし、それはどのような内容を含むのかを講義を聴くことで理解し、教科「商業科」の目標と基礎的科目の主な指導内容と留意点を把握していきます。②については、「総合実践」・「課題研究」・「財務会計Ⅰ」「マーケティング」・「経済活動と法」などの目標を実現するために、どのような教育課程を編成していけばよいのか、「授業の設計・実施・評価」や「単元指導計画と学習指導案の作成」方法を演習形態で検討します。その後、一人一人が作成した学習指導案に基づき模擬授業を行ってもらいます。模擬授業の終了後には、改善すべき点や反省点を盛り込んだ新しい学習指導案を作成して提出してもらいます。
教育課程の編成についての課題として、3年間で30単位の専門科目を履修するという前提で、そのような教育課程が編成できるか、実際の学校の事例を参考にして、各自で編成案を作成してもらいます。 授業外で取り組む教材研究の課題として、商業の専門科目の中からテーマを1つ選定して、研究レポートを提出してもらいます。レポートは、次の観点から評価します。①テーマの本質を探究するものであるか、②専門書等を精読してまとめたものか、③客観的なデータや事実を基に分析したものか。④簡潔・明瞭な説明になっているかです。レポートは、授業中にコメントを付けて返却します。 到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
高等学校学習指導要領に示された商業科の目標と授業設計・模擬授業をテーマとし、以下のことを到達目標とします。
・1. 商業科の目標と各科目(:マーケティング・財務会計Ⅰ・ビジネス経済など)の位置付けを理解 し、各科目の学習内容と指導上の留意点を説明できるようになります。 ・2. 大学での学びを教材研究に活用することを通して、高等学校商業科における発展的な科目の学 習内容を探求し、専門性の深化を目指した教育課程の編成について考察することができるよう になります。 ・3. 商業科教育が実学であることから、地域の経済活動を学びのフィールドとする開かれた商業教 育の取り組みとして、学校デパートや商品開発、インターンシップの実践について指導上の留 意点を説明できるようになります。 ・4. 生徒の実態を前提とした授業計画を立て、商業科においてパソコン等の情報機器を活用した授 業設計ができるようになります。 ・5. ビジネス基礎又はマーケティングの授業について学習指導案を作成した上で、ビジネス基礎又 はマーケティングの模擬授業を実施し、授業実践技術を身に付けることができます。また、そ の振り返りによって、授業改善の視点を明確に指摘することができるようになります。 【身に付く力】知識・理解、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力 授業計画
授業計画
第1回:高等学校学習指導要領における商業科の組織の変遷 第2回:商業科の原則履修科目(:ビジネス基礎、課題研究)の指導内容と指導上の留意点 第3回:商業科の各科目(:マーケティング・財務会計Ⅰ・ビジネス経済など)の指導上の留意点 第4回:商業科の学習指導の特徴と具体的な評価方法 第5回:経済学・会計学・経営学などの学問領域と商業科目の教材開発 *レポート①−原価計算の指導を題材として演習問題を作成します− レポート①は、内容を評価した上でコメントを付して返却します。 第6回:法律学・情報学などの学問領域と商業科目の教材開発 −民法の指導を題材として− 第7回:高等学校商業科の総合的科目(総合実践・課題研究)の学習内容と教育課程上の位置付け 第8回:高等学校商業科における小学制、コース制・類型制の教育課程の特徴と専門性の深化の関係 第9回:導入段階における生徒のレディネスの把握方法と年間指導計画の作成 *レポート②−全商簿記検定試験(3級・2級)の過去問題を解いて提出してもらいます。 レポート②は、採点した上でコメントを付して返却します。 第10回:ビジネス情報分野の授業における情報機器の活用 第11回:ビジネス基礎又はマーケティングの学習指導案作成 第12回:模擬授業の実施と振り返りー学習補助資料の作成、板書と説明の工夫点− 第13回:模擬授業の実施と振り返りー授業中の効果的な発問と小グループでの活動時の工夫点ー 第14回:商業科におけるアクティブラーニングの取り組み ー総合実践やインターンシップ− 第15回:商業科におけるプロジェクト学習の取り組 ー商品開発や学校デパート− 関連科目
商業科教育法Ⅰ、情報科教育法Ⅰ、情報科教育法Ⅱ
準備学習等の指示
予習の時間は約1時間必要です。また、復習の時間も約1時間が必要となります。
1.商業科の教員として必須の日商簿記検定3級および2級の学習をして、11月または2月に実施される検定試験を受験してください(簿記3級は80時間、簿記2級は150時間の学習が必要です)。 2.『高等学校学習指導要領』の内容のうち「商業」について各科目の目標と指導上の配慮事項をノートに整理して、完全に暗記しておいてください(20時間)。 3.模擬授業を行う前に時間かけて十分な教材研究をして、学習指導案を作成し事前に提出てください(10時間)。なお、「板書計画」を立て板書ノートを作成し、学習補助教材を作成することを求めます。これにかかる時間は3時間程度です。 4.最低週に1回は日本経済新聞又は一般新聞の経済面を15分程度読むことを継続してください。意味が分からない専門用語が出てきたら、調べてノートにまとめてください。 5.マーケティングとマネジメントに関する入門書を各1冊、読んでください(50時間)。 6.原価計算と会計学に関する入門書を各1冊、読んでください(50時間) 教科書
文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 商業編 平成30年7月 実教出版 ¥744+税
西村修一監修、並木秀樹編著『商業科教育法−理論と実践』東京法令出版,¥2,640- 参考文献
参考資料は、授業中に適宜配付します。
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
学習指導案・模擬授業(60%)、レポート①(20%),レポート②(20%)で評価します。
実務経験と授業との関連
県立の商業高等学校で、商業科の教諭を15年経験し、県教委事務局で指導主事を5年間経験したことを指導内容に反映しています。また、市立高等学校で教頭を3年、県教委事務局で主任専門員(課長補佐級)を2年経験したことで、学校の管理や教員指導の視点から新しい商業教育の展開について講義します。また、中国五県簿記検定委員会の委員長を経験しており、商業簿記(3級・2級)、原価計算、会計の作問をしてきました。
備考
授業の最初に出席カードを配付し、授業で分かったことと、理解できなかったっことや実問事項を箇条書きで整理し。授業終了直後に提出してもらいます。その理解できなかったことや質問については、次の授業で解説します。
商業科の教師を目指す学生として、意欲的・積極的な姿勢や態度が顕著であると認められる者は、最終的な評定に反映させます。全商簿記検定2級のレベルの学習を終えていることを前提として授業を展開します。 |