シラバス情報

科目名
広島地域ものづくり事情
授業コード
21067
担当者名
竹林 栄治、岡本 康昭、野北 晴子
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度前期
教職免許種類

授業内容
 この講義では、広島の代表的なものづくり企業から講師をお招きし、「ものづくり」そのものに拘らず、それぞれの業務や、立場からいろんなお話しをしていただきます。
 ものづくりとは、広い意味では「良い設計の良い流れによって、顧客満足、企業利益、雇用確保を実現するための企業・産業・現場活動の全体を指す(藤本 隆宏)」 とされています。なぜ「生産」「製造」でなく「ものづくり」なのか。「ものづくり」は、海外でも「monozukuri」で通用します。すなわち、「日本的ものづくり」のことを指していますが、履修者には、この講義を通じてそれは何を意味するのか、あらためて考えてもらいます。
 広島は「ものづくりの広島」と言われます。その理由と歴史的背景を知ってもらうために、特別編として大和ミュージアムから講師をお招きします。戦艦大和を製造した呉海軍工廠の存在は、その後の広島経済に大きな影響をもたらしました。広島の産業集積は他県と比べて非常に大きく、その波及効果は広島経済に多大な恩恵をもたらしていますい。また、それら企業のグローバル戦略を知ることで、いかに広島が海外とつながっているか知ることができます。
 日本には、小規模の事業者も含めると約350万の企業があります。ほとんどの企業はBtoBで、対企業ビジネスです。とりわけ製造業はBtoBが多く、学生にとってなじみがない、知らない業種が非常に多いと思われます。また、広島の場合、中小企業に属するメーカーが多く、中小メーカー=厳しい下請け企業、という誤解が視野を狭めています。この講義を担当していただく企業の多くは、その「中小企業」という定義を逆手にとり、時代の変化に柔軟に対応し、国内企業の平均寿命が24年という中、100年以上続いています。さらに、農業部門において、第6次産業と言われるずっと以前から、生産・加工・販売・観光を融合させた取り組みを行っている企業の方にも講義をしていただきます。
 一方、現在、AIやIoT、ビッグデータ等を用いたDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進が企業の大きなテーマとなっていますが、ものづくりの現場においては、それは以前から喫緊の課題でした。コロナ禍でさらに加速したDX化によって、製造現場はどのように変化しているのか、そしてそれによつてどのようなことが可能になるのか、今回、特別編第2弾として、メタバースとリアルの融合を目指す最先端企業から講師をお招きしして話を伺います。
 この授業を受講することによって、多くの新たな発見が得られ、広島という地域に対する見方が大きく変わると期待されます。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
 ネットの情報に振り回されやすくなっている今日、この講義によって視野を広げ、ものの見方を学び、新たな発想につなげるヒントを得てもらうことを目的としています。そして、それによってDX時代に重要な「感性」を磨いてもらうことを最大の目的としています。同時に、講師の方から直接話を聞くことによって、現場を見て考える重要性を感じ取ってもらいたいと考えています。
【身につく力】「問題解決力」、「斬新な発想をする力」、「チャレンジする力」
授業計画
第1回 ガイダンス(担当教員)
第2回 (株)サタケ—世界140カ国に販売、食品加工機械の総合メーカー
第3回  (株)研創−金属製サインの分野でシェアナンバーワン
第4回  賀茂鶴酒造(株)−広島の酒づくり 
第5回 マツダ(株)—100周年を迎えたマツダの新しいものづくりへの挑戦
第6回 【特別編】呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)
     -ものづくりの広島、その歴史的背景を探る-
第7回 (有)平田観光農園—農業と観光の一体化
第8回 (株)三宅—縫い針の製造から総合セキュリティー会社へ変身
第9回  カイハラ(株)ーデニム生地国内シェア50%、紡績から整理加工までの一貫生産
第10回 三島食品(株)—人と仕組みのものづくり 
第11回 (株)白鳳堂—伝統産業(書道筆)の技術を活かした新ビジネス(化粧筆)の展開
第12回【特別編】(株)VISUALIZ
-リアルのためのメタバース制作・開発最先端企業による「ものづくりの現場で何が起きているか」
第13回 ダイキョーニシカワ(株)—業界トップクラスのプラスチック加工技術で系列を超える
第14回 常石造船—業界大再編の一翼を担う瀬戸内海の巨人
第15回 田中電機工業(株)—これからの学生に期待することー中小企業経営者のひとりごと
注)この講義スケジュール(順番や内容等)は、諸事情により変更となる場合がありますので、十分に注意してください。
関連科目
中四国地域特別講義(流通・サービス・製造)
準備学習等の指示
講師の話を理解するためには、事前準備が重要です(最低30分必要)。HPや新聞記事、下記に挙げている参考文献で、当該企業について、その企業が属する業界について必ず調べましょう。レポート作成は、この事前準備から始まっています。
教科書
教科書はありませんが、毎回、講師の先生方の講義レジュメまたは資料を配布します。
参考文献
広島経済研究所『広島企業年鑑』、経済レポート『広島会社手帳』、 経済産業省『2019年版ものづくり白書』 、渡辺昌彦編(2009)『 広島のものづくり先進企業1』渓水社 、渡辺昌彦編(2014)『 広島のものづくり先進企業2』渓水社、なお図書館では、オンライン記事(日経新聞、中国新聞、日経雑誌等)の検索や雑誌記事検索ができます。
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
成績評価は、各企業の講師の講義を聴いてのレポート(感想・コメント1000字以上)で行います。原則、5回以上の提出がないと単位認定はできません。ただし、出席していない授業について書いたレポートは無効となりますので、注意してください。
実務経験と授業との関連
授業内容を参照。
備考
・授業開始5分経過後は入室を禁止します。
・本講義は、選考により120名を定員とします。
・企業の方は、非常にお忙しい中、学生のために時間を割いて来ていただいています。遅刻・私語といった授業環境を悪化させる行為及び携帯電話の使用、居眠りなどマナーに反する行為については、厳重に注意します。こうしたマナーを守れない 学生の受講はお断りします。
・学生にとって、この授業は就活に繋がります。その意味では、学生の講師に与えるイメージは、広島経済大学学生の評価ともなります。気を引き締めて、講義に臨んでください。