シラバス情報

科目名
商業科教育法Ⅰ 【教職】
授業コード
51007
担当者名
餅川 正雄
単位数
2.00単位
配当年次
3年
開講学期
2023年度前期
教職免許種類
高校一種(商業)

授業内容
 この授業のテーマは、「①商業科の基礎科目の指導内容を学ぶこと」と「②簿記の授業展開ができるようになる」の二つです。まず①については、高等学校における商業教育は、どのような分野を対象とし、それはどのような内容を含むのかを講義を聴くことで理解し、教科「商業科」の目標と基礎的科目の主な指導内容と留意点を把握していきます。そして、②については、「簿記」の目標を実現するために、どのような授業を組み立て展開していけばよいのか、「授業の設計・実施・評価」や「単元指導計画と学習指導案の作成」方法を演習形態で検討した後、一人一人が作成した学習指導案に基づき模擬授業を行います。授業外で取り組む課題として、「簿記」で指導する各種帳簿(主要簿・補助簿)の記帳例題を作成して提出してもらいます。また、決算の意義、決算整理事項等について課題レポートを提出してもらいます。提出された記帳例題や課題レポートは添削して返却します。

到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
高等学校学習指導要領に示された商業科の目標と学習内容及び授業設計をテーマとし、以下のことを到達目標としています。
・1. 商業科の目標と基礎的科目(:ビジネス基礎・簿記・情報処理)の学習内容と、指導上の留意点
  を説明できるようになります。
・2. 商業科の学習指導と評価の一体化の考え方を理解し、経済学・経営学などの学問領域と高等学
  校商業科目の関連を理解し、大学での学びを教材研究に活用することができるようになります。
・3. 生徒の学力や学習意欲等の実態を前提とした授業計画の考え方を理解し、パソコン等の情報機
  器を活用した授業ができるようになります。。
・4. 学習指導案の基本的な構成を理解し、「簿記」の授業について学習指導案を作成した上で「簿
記」の模擬授業の実施できるようになり、その振り返りによって、授業改善の視点を指摘でき
  るようになります。

【身に付く力】知識・理解、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力
授業計画
第1回:高等学校学習指導要領における商業科の目標
第2回:商業科の目標と基礎的科目の指導内容
第3回:商業科の基礎的科目の指導上の留意点
第4回:商業科の学習指導の特徴と指導と評価の一体化
第5回:経済学・会計学・経営学などの学問領域と商業科目の教材研究
第6回:法律学・情報学などの学問領域と商業科目の教材研究
第7回:商業科における発展的科目の学習内容と教育課程への位置付け
第8回:商業科目の系統性・発展性を配慮した教育課程とその評価の視点
     *レポート①「私の考える商業科の教育課程案」を提出します
          (レポート①は、後日、コメントを付して返却)
第9回:生徒のレディネスの把握方法と単元指導計画の作成
第10回:商業科目の授業における情報機器の活用
第11回:学習指導案の基本的構成と簿記の学習指導案作成 
第12回:模擬授業の実施と振り返り① −導入段階での授業目標の提示と身近な事例の紹介−
第13回:模擬授業の実施と振り返り② −教科書の活用と問題演習、学習補助教材の作成−
     *レポート②「教材研究の内容」を整理して提出します
          (レポート②は、後日、コメントを付して返却)
第14回:商業科におけるビジネス基礎に関する実践事例
第15回:商業科における情報処理に関する実践事例

関連科目
商業科教育法Ⅱ、情報科教育法Ⅰ、情報科教育法Ⅱ
準備学習等の指示
予習の時間は毎回1時間必要となります。また復習の時間も1時間が必要です。
具体的な内容は、次に示すとおりです。
1.『高等学校学習指導要領』の中で、授業中に指示する箇所を覚えるまで10回以上精読しておいてください。意味の分からない専門用語は必ず調べてノートに書いてください。(20時間)
2.『高等学校学習指導要領・商業科「解説編」』の中で、重要な箇所を話し言葉でノートに整理してください。また、授業で説明する内容を「シナリオ形式」で書いてみてください。想定される生徒の反応も記入しておいてください。(10時間)
3.模擬授業でパワーポイントを使用することを前提にデータ(10枚程度)を作成しておいてください(5時間)。
4.チョークの利用になれておく必要があるため、空き時間に144教室で板書の練習してください(2〜3時間)。
5. 電子黒板の使用方法についても実際に触れておくことが必要です。教職課程支援室にあります。
5.模擬授業が始まる前に「ビジネス基礎」・「簿記」・「情報処理」の教科書を通読し,ノートに要点を整理しておいてください。各科目で30時間程度必要となります。
6.模擬授業の指導単元を指定した後に「教材研究」が必要であり、それに最低でも3〜5時間必要となります。そして学習指導案や学習補助資料(プリント等)の作成に2〜3時間程度が必要となります。
教科書
文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 商業編 平成30年7月 実教出版 ¥744+税
西村修一監修、並木秀樹編著『商業科教育法−理論と実践』東京法令出版,¥2,640-
参考文献
番場博之(2010)『職業教育と商業高校』大月書店,¥3,400-(ISBN978-4-272-41212-9)
必要となる参考資料は、授業時に適宜配付します。
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
 学習指導案・模擬授業(60%)、レポート(20%)、小テスト(20%)

・学習指導案に沿った模擬授業を行い,説明・板書・発問などの基本的な学習指導ができるかどうかという観点から評価します。
・レポート①は、教育実習予定校の教育課程を基に自分が理想的だと考える教育課程を作成します。
・レポート②は,「簿記」の単元の中から「当座預金出納帳」・「仕入帳」・「売上帳」・「商品有高帳」などを指定し、オリジナルの記帳例題を作成して提出してもらいます。
・小テストは,商業科の目標,ビジネス基礎・簿記・情報処理の指導目標と指導上の留意事項及び学習内容について,専門用語を用いて簡潔に説明できるかどうかを小テストにより確認します。
実務経験と授業との関連
県立の商業高等学校で、商業科の教諭を15年経験し、県教委事務局で指導主事を5年間経験したことを指導内容に反映しています。また、市立高等学校で教頭を3年、県教委事務局で係長を2年経験したことで、学校の管理や教員指導の視点から新しい商業教育の展開について講義します。
備考
記帳例題の作成レポートと決算に関する課題レポートは翌週の授業で、改善点や修正事項をコメントを付して返却し、授業中に解説します。。
 授業中に分かったことや理解できなかった内容や質問事項等は、授業の最初に配付するカードに箇条書きで記入して提出してもらいます。それを次の授業で補足説明をします。
高等学校の商業科で使用する簿記」教科書の内容を理解しているlことを前提として授業を展開します。高等学校のの「簿記」と「情報処理」の教科書を購入しておいてください。授業に対する関心・意欲・態度についても評価の対象とし、意欲的な姿勢や態度が顕著な学生については、教職を目指す学生を育てる観点から最終的な評定に反映させます。