シラバス情報

科目名
生徒・進路指導論 【教職】
授業コード
51025
担当者名
餅川 正雄
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度前期
教職免許種類
中学一種(社会)、高校一種(地理歴史)、高校一種(公民)、高校一種(商業)、高校一種(情報)

授業内容
生徒指導と進路指導は学校教育における教科学習の内容以外に関する幅広い活動です。教育の目的が教科に関する知識やスキルにとどまらず、人格の完成にあることを考えると、生徒指導や進路指導という活動は学校生活のあらゆる場面に関連しています。また、生徒指導も進路指導も全体指導の視点と個別指導の視点の二つの側面から理解を深める必要があるります。この授業では学校現場での具体的な事例を用いて考察します。例えば、いじめ問題への対応方法、不登校問題への対応方法、インターンシップなどの内容を効果的に学ぶために、テーマを設定して、小グループでの話し合いの機会を多く設定し、どのような取り組みが必要となるのかを協議してもらいます。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
1 生徒指導の意義や原理と学級・学年・学校における生徒指導の進め方をテーマとし、以下のことを到達目標とします。
 中学校や高等学校の教育課程における生徒指導の位置付けと、各教科・道徳教育・総合的な学習の時間・特別活動における生徒指導の意義や重要性を理解できます。
学校の指導方針及び年間指導計画に基づいた組織的な取組の重要性を理解し、生徒の基礎的な生活習慣の確立や規範意識の醸成等の日々の生徒指導の在り方を説明することができます。
2 個々の生徒が抱える生徒指導上の主な課題の態様と、学校内外の連携を含めた対応の在り方をテーマとし、以下のことを到達目標とします。
 校則・懲戒・体罰等の生徒指導に関する主な法令の内容を理解し、生徒の暴力行為・いじめ・不登校等の生徒指導上の課題や対応の視点と手順を説明することができるようになります。また、インターネットや性に関する課題、児童虐待への対応等の今日的な生徒指導上の課題や、専門家や関係機関との連携の在り方を例示することができるようになります。
3 進路指導・キャリア教育の意義と原理をテーマとし、以下のことを到達目標とします。
 教育課程における進路指導・キャリア教育の位置付けを理解し、中学校や高等学校の教育活動全体を通じたキャリア教育の視点と指導の在り方を例示することができるようになります。
 キャリア教育の視点を持ったカリキュラム・マネジメントの意義を理解し、全体指導行う際のガイダンス機能を生かした進路指導・キャリア教育の意義や留意点を説明できるようになります。また、生涯を通したキャリア形成やキャリア発達の視点に立った自己評価の意義を理解し、キャリア・カウンセリングの基礎的な考え方と実践方法を説明することができるようになります。



【身に付く力】「知識・理解」、「コミュニケーション能力」、「問題解決力」
授業計画
第1回:中学校・高等学校における生徒指導の重要性
第2回:教科指導や特別活動等における生徒指導の意義と重要性
第3回:中学校や高等学校における集団指導と個別指導の方法
第4回:中学校や高等学校の生徒指導体制と教育相談体制の在り方
第5回:学校の指導方針と年間指導計画に基づいた組織的な生徒指導の実践
第6回:規範意識の醸成や生活習慣の確立を目指した学級担任の生徒指導
    *「校則を守れない生徒」に対する指導について、小グループで協議
第7回:生徒の自己存在感や自己肯定感を育む集団活動の在り方
    *「集団づくり(仲間づくり)」におけるリーダーの育成方法について、小グループ
     で協議
第8回:懲戒(停学・退学等)や体罰等の生徒指導に関する主な法令と校則
    *「万引きを繰り返す生徒」に対する指導について、小グループで協議
第9回:いじめや不登校、暴力行為等の定義とその具体的な対応
    *「いじめを根絶するための方策」について、小グループで協議及びレポート①提出
( レポート①はコメントを付して後日返却します)
第10回:進路指導・キャリア教育の教育課程における位置付けと指導の在り方
第11回:組織的な進路指導体制と家庭(保護者)や関係機関との連携の在り方
    *「進路に関する三者懇談」の意義と話し合いの内容について、小グループで協議
第12回:カリキュラム・マネジメントの意義とインターンシップの実施
    *「インターンシップの実践事例」を基に、その成果と課題を小グループでの協議
第13回:ガイダンス機能を生かした学校全体の進路指導・キャリア教育の意義
第14回: キャリア形成の視点に立った自己評価の意義と、学級担任のポートフォリオの活用
    *「進路に悩んでいる生徒」に対する指導について、小グループで協議及びレポート
      ②提出 ( レポート②はコメントを付して後日返却します)
第15回:キャリア・カウンセリングの考え方と学級担任の実践
関連科目
職業指導、情報と職業
準備学習等の指示

次の項目ごとに、ノートに整理するために約1時間程度の準備学習が必要となります。また、授業後の復習の時間として約1時間が必要です。また、小グループでの演習の前の回の授業時に話し合うテーマを指示しますので、事前に意見をまとめたり、調べておいたりする必要があります。
1. 生徒指導の授業では、実際に学校で起きている事例を中心として展開するので、教科書を事前に読み、具体的な生徒指導の場面で、担任教師は生徒に対して何を語るのかを考え、整理してください。
2.自分が中学生や高校生の時に、どのような教師が信頼され尊敬されていたのかを箇条書きで整理してみてください。
3.進路相談の具体的な場面で、教師はどのようなことに留意する必要があるのかを考えてまとめてください。
4.いじめ問題について、その予防や解決の具体的な方法を考え、教師の考え方や行動はどうあるべきかを考えて、箇条書きにしてください。
5.問題行動があった時、学校(教師)は、家庭(保護者)との連携をどうすべきか具体的に整理してください。
6.生徒指導は教師の機動力が試されると言われます。その機動力とは具体的には何かを考えて、図解してみてください。
7.教師が数人のチームとして取り組む場面を想定して、その時に何が重要になるかを考えて文章でまとめてください。
8.保護者からの理不尽な要求に対して学校の教員はどのように対応すべきであるかを考えて文章でまとめてください。
9.中学校または高等学校の学校組織(校務分掌)で、進路指導部はどのような活動をするのか箇条書きにしてみてください。
10.個々の教員と生徒指導主事及び進路指導主事との関係はどうなっているのかを図に書いてみましょう。
11.教務主任や学年主任、進路指導主事、生徒指導主事、保健主事などの主任(ミドルリーダー)は、どのような役割を果たすべきかを考えて、文章でまとめてください。
12.学校の組織マネジメントとは、どのようなものであるのかを調べてください。特にマトリックス組織と言われる学校の組織構造を理解し、校長や教頭のリーダーシップはどうあるべきかを考えて、箇条書きにしてください。
13.中学校や高等学校のキャリア教育の計画と実践について、インターネットで調べて整理してみましょう。
14.中学校や高等学校の『校則』を調べ、生徒に対してどのような指導が必要なのかをかを整理してください。 
教科書
林尚示編著(2014)『生徒指導・進路指導』一藝社,¥2,200-( ISBN 978-4-86359-059-5)
文部科学省(2019)『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総則編 東洋館出版社,¥380-
(ISBN 978-4-491-03639-7)
文部科学省(2019)『生徒指導提要』教育図書,¥377-( ISBN 978-4-87739-274-0)
参考文献
本田由紀著(2011)『軋む社会』河出書房新社,¥760-(ISBN 978-4-309-41090-6)
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
定期試験70%、課題レポート30%で成績評価を行ないます。
課題レポート①「いじめを根絶するための方策」(第9回)
  〃   ②「進路に悩んでいる生徒」に対する指導(第14回)
 ①・②のレポートは、学校現場での実際の対応を想定したものであるかどうかという観点から評価します。コメントを付けて授業中に返却します。
実務経験と授業との関連
授業者は、公立高等学校での教諭、教頭を経験しています。その経験に基づいて、机上の理論だけでなく、生徒指導や進路指導の実際的な指導や、学校の組織マネジメント、危機管理などについても講義します。また、県教育委員会では、指導主事、主任専門員(課長補佐級)を経験しており、教育行政の視点から、教育委員会の役割や教員に求められる資質・能力について分かり易く指導します。
備考
教科書の指定箇所を事前に読んで授業に出席してください。グループ協議の場面などで、発言・質問などが活発で積極的な学生については、教職を目指す学生を育成する観点から、最終的な評定に反映させます。