シラバス情報

科目名
経済学史特論Ⅱ
授業コード
71012
担当者名
林 直樹
副題
単位数
2.00単位
配当年次
1年
開講学期
2023年度後期
教職免許種類
高校専修(地理歴史)

授業内容
前期開講の特論Ⅰでは理論的通史を対象とします。これに対し、この授業では「人口」にポイントを絞った経済思想史の展開を追います。特論Ⅰとは切り取る側面が異なるため、前期に得られた知見の肩の上に乗ることで、経済を見る目をより深く掘り下げることができます。

テキストの著者はアダム・スミスの専門研究者ですが、広く現代まで視野を広げて「人口と経済」の関係を論じています。スミス以前から以後までを貫く、経済にとっての普遍的な一大問題が、人口であると言ってもよいでしょう。

特論Ⅰと同様に、授業では教員による解説を基本線としますが、折に触れてテキストをふまえた発表を求めます。最終レポートの提出も必須要件です。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
【到達目標】
(1)各時代・地域・人物における人口論議のコンテクストを正確に捉え、説明することができる。
(2)人口と経済の関係性をめぐる将来的見通しを提示し、その根拠を論述することができる。
【身につく力】
④論理的思考力・分析力 ⑤問題解決力 ⑦斬新な発想をする力
授業計画
第 1回 重商主義の時代:ペティ
第 2回 重商主義の時代:重商主義と人口
第 3回 重商主義の時代:ベーコン主義
第 4回 スミスの時代:モンテスキュー
第 5回 スミスの時代:ヒューム・ウォーレス論争
第 6回 スミスの時代:ステュアートとケイムズ卿
第 7回 マルサスと古典派経済学:コンドルセとフランス革命
第 8回 マルサスと古典派経済学:ゴドウィンとフランス革命
第 9回 マルサスと古典派経済学:J・S・ミル
第10回 ケインズと転換期の経済学:マーシャル
第11回 ケインズと転換期の経済学:ケインズにおける人口変動
第12回 ケインズと転換期の経済学:成長理論と人口
第13回 現代の経済学:人口転換論
第14回 現代の経済学:世代間所得移転
第15回 現代の経済学:経済の成長と長期停滞
関連科目
経済学史特論Ⅰ
準備学習等の指示
【事前学習】
テキストの該当範囲に事前に目を通してきてください。発表を指示する場合もありますので、その際にはレジュメ作りを進めてください。レジュメ作成には最低でも数時間を要します。
【事後学習】
理解が不明瞭なところはどこかを反芻して考え、次回以降に質問できるようにしておいてください。
教科書
野原慎司著『人口の経済学:平等の構想と統治をめぐる思想史』講談社選書メチエ(2022年)
参考文献
経済古典を中心に、適宜指示します。
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
以下のような比率に基づき、総合的に評価します。
授業への参加度:20% 授業内発表(三回程度):30% 最終レポート:50% 
実務経験と授業との関連
備考
経済学において、人口は動かしがたい与件(制約条件)とされることがあります。しかし、かつて日本を代表する経済学者の一人だった高田保馬が、同時に社会学を修める中で人口問題に接近していったように、時にはあえて通常の経済学の枠外に出てみてもよいでしょう。それが新鮮な経験となり、逆に経済の理解を深めることにつながるのではないかと思います。