シラバス情報

科目名
経済史基礎Ⅰ
授業コード
21020
担当者名
竹林 栄治
副題
近代以前の経済の歴史
科目ナンバリング
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2023年度前期
教職免許種類
高校一種(地理歴史)

授業内容
授業内容
この授業は、古代から現代までの人間の経済活動について、そのおおよその変遷を世界史の大きな流れを踏まえながら、理解することを目指します。すなわち、過去から現在に至る「経済の歴史」の重要項目をさまざまな視点(市場・技術・労働・資本・価値観・過去の影響など)から捉えます。特に前期に開講される経済史基礎Ⅰでは古代から近世までの時代を取り扱います。

授業方法
この授業では事前学習(60分)と事後学習(30分)が不可欠です。授業前に予習として学習ポータル上で配布資料を読み込んで授業本番に臨みます。授業終了後は復習として配布資料を読み直しましょう。とくに第10回では理解度を確認するために小試験を実施しますので、しっかり復習しましょう。

※新型コロナウイルの感染状況によって、授業が最初からあるいは途中から遠隔授業(Microsoft社のTeams)に切り替わることがあります。
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
この授業は次の目標を目指します。
1)学習した歴史事象を経済学的に説明する能力が身に付きます。
2)多文化を尊重し、異文化を理解する姿勢が養われます。
【身につく力】 「知識・理解」「論理性 」「多様性」
授業計画
第1回 「経済の歴史」の効用
     経済の歴史とは何かを説明し、それを学ぶ意義を「多様な視点」と「自己相対化」の観点
     から、歴史的事例を挙げて説明します。
第2回 農業の開始
  後氷期に人類が狩猟採集経済から農業へ移行した理由を限界費用と限界収入の観点から歴史
    的事例を挙げて考えます。
第3回  古代国家の成立
     古代国家の成立を、安全保障についての規模の経済(スケールメリット)の追求の観点か
     ら歴史的事例を挙げて考えます。
第4回 古代の日本
     古代の日本を縄文期・弥生期・古墳期・律令期に分けて説明し、とくに律令期の土地制度
     と税制の変遷を財産権の確立とインセンティブ構造の観点から学びます。
第5回 歴史における人口圧 —「人口と食料の関係」—(討論型授業)
  気候変動に伴う架空の部族での食料と人口の不均衡から人口と食料の関係を考え、どうす
     れば自分の部族を存続できるかを、受講者同士で学習ポータル(LINE形式)上や教室
     内で討論します。
第6回 封建社会の特徴
     身分制社会の原理がなぜ必要だったかを考え、身分表彰手段としての威信財の役割を学び
     ます。
第7回 中世の農業
     中世社会の主要な産業であり、社会的富の大部分を生産する農業とそれが展開する空間と
     しての農村とそこに住む農民の生活を学びます。
第8回 中世の都市と商工業
     貨幣的富が集中する空間である中世都市(ヨーロッパ・イスラーム・中国)の比較とそこ
     で生産される商品、都市と周辺農村との経済的関係、商業と宗教について学びます。
第9回 東西交易の発展
     ユーラシア規模での交換経済を支えた東西交易網(ユーラシア円環ネットワーク)とそこ
     で活躍した遠隔地商人の役割を学びます。
第10回 中間まとめ
     これまでの学習項目を復習するとともに、小試験を実施します。
第11回 大航海時代と欧州の世界進出
  西洋諸国の海外進出の政治的・宗教的・経済的動機および欧州世界拡大の物的・精神的前
     提について学びます。
第12回 西欧の植民地支配−中南米・アフリカ・アジア−
     中南米・アフリカ・アジアにおける西欧諸国の植民地支配の違いと生産の組織化、地球規
     模での交換経済を加速化させたオランダの役割を学びます。
第13回 ヨーロッパ経済・社会の変化
      新大陸やアジア物産の流入による欧州人の生活様式の大きな変化や初期産業革命につい
      てを、食材や食器(陶磁器)を事例に挙げて学びます。
第14回 主権国家の成立と重商主義
      欧州における主権国家の形成を国語の形成と規範文法の整備の観点から説明し、それら
      の諸国が経済活動に関与した政策の内容とその理由を学びます。
第15回 大航海時代における日本
      織豊時代から江戸時代初期にかけての日本の輸入品から、外国との交易の必要性を考え
      ます。江戸時代中期にみられる輸入代替化の理由も学びます。

※新型コロナウイルスの感染状況やその他の諸事情により、上記の日程は変更される可能性があります。 
関連科目
関連科目では、西洋経済史Ⅰ、日本経済史Ⅰなどがあります。また経済入門、経営入門、ミクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、マクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、財政学Ⅰ・Ⅱ、金融論Ⅰ・Ⅱ等も大いに関連しています。共通科目としては、日本の歴史Ⅰ・Ⅱ、世界の歴史Ⅰがあります。
準備学習等の指示
この授業をより良く理解するために、次のことに留意しましょう。
1.事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)し、それらを読み込みます。予習が大前提です。
2.この授業は世界史や日本史を既に学習していることを前提にしているので、これらの科目の知識に不安のある受講生は、高校の教科書や参考書を予め読んでおきましょう。
3.新聞、テレビやインターネットで国際ニュースや時事ニュースを見ておくこと(大学生としての最低限の教養は受講の際に必要です)。
教科書
使用しません。事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)してください。
参考文献
経済史では、荒井政治、竹岡敬温、『概説西洋経済史』、有斐閣、1980年、岡田泰男、『経済史入門—過去と現在を結ぶもの』、慶應義塾大学出版会、1997年、1979年、堺憲一、『新版あなたが歴史と出会うとき—経済の視点から』、名古屋大学出版会、2009年、林達、『一般経済史』、学文社、1995年等があります。
世界史では、『詳説世界史B』、山川出版社、 『世界史B』、東京書籍、『世界史B 人、暮らしがあふれる歴史』、第一学習社等があります。またNHKテレビ高校講座の世界史も役立ちます。
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
定期試験(60%)と小試験(40%)で評価します。
対面授業が前提なので、出席回数が総授業回数の3分の2に満たない者は定期試験の受験を認めないことがあります。

※新型コロナウイルスの感染状況により、評価基準(配点割合)が変更される可能性があります。
実務経験と授業との関連
なし
備考
受講者心得
1.事前に学習ポータル上に掲示された配布資料を各自が入手(ダウンロード)してください。
2.他の受講生の勉強の妨げになるので、授業中の私語は厳禁です。友達とのお喋りは授業時間外にしましょう。非常に騒がしくて授業の妨げになる場合は、教員が適切と考える処置を取ることがあります。