教員名 : 野北 晴子
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科目名
経済政策論
授業コード
21046
担当者名
野北 晴子
単位数
2.00単位
配当年次
3年
開講学期
2025年度後期
教職免許種類
授業内容
第二次世界大戦後の世界は、資本主義経済の西側諸国と共産主義化を目指す社会主義経済の東側諸国に分かれて、それぞれが「自由・平等・博愛」を実現するための競争の時代であったもいうことができます。このような競争は、宇宙技術開発や軍拡競争・南北問題解決のための援助競争に現れました。「冷戦」は、西側先進工業諸国の「技術革新・技術進歩・福祉の達成」という成果がもたらしたという意味で、西側諸国の勝利で幕を閉じたと考えられています。
この豊かさの追求は、工業化の成功にあったと理解され、西側諸国の企業が進出した東南アジアや南米等の工業化と産業化が進展した。その一方で、先進諸国内では産業の空洞化が進展し、国際金融技術と制度が進展し、現在も広がる格差拡大の要因となっています。 戦後日本は、物資不足と高インフレに悩まされてきましたが、1960年代には高度経済成長期へ入りました。この日本経済の発展は、当時の政治家や官僚による綿密な計画のもとで実施された経済政策の大きな成功と考えられます。またその背景には、石油エネルギー資源を安く調達できたことがあります。しかし、政権の交代による政策指針の混乱は、深刻な公害問題を引き起こしました。 1970年代は、ニクソンショックによる急激な円高で始まり、石油危機がその混乱に拍車を掛けました。田中角栄が出した「日本列島改造論」は田中首相の辞任と共に立ち消えとなり、1980年代の国鉄分割民営化により物流と線路が寸断され、地方の過疎化が加速することになりました。 一方、日本経済全体を見ると、70年代における2回の石油危機と円高にも拘わらず、1980年代には日本の国際競争力は著しく進展しました。そのため、アメリカを中心とした貿易摩擦が激しくなり、円高ドル安を狙った1985年のプラザ合意は日本経済を円高不況に陥れました。このときの円高は、中小企業までも海外進出に拍車をかけ、進出先は製造業を中心にアジア諸国に集中しました。 その後生じたのがバブル経済ですが、その数年後、好景気が泡のように消え去るとともに、日本は失われた20年、30年とも言われる時代に突入しました。80年代からの日本の経済政策を辿っていくと、この失われた時代を長期化させるとしか思えないような経済政策が続きます。 本講義では、この経緯を丹念に紐解き、これからの日本経済に必要な政策とは何なのか、考えていきたいと思います。 今年は日本と密接な関係があり、世界経済に与える影響が最も大きなアメリカで、劇的な変化が起こりました。第二次トランプ政権は、これまでと全く異なる政策を次々と打ち出していますが、日本政府はそれに対して従来の政策を踏襲しています。果たして、政府が行おうとしている政策は、長く疲弊した経済におかれている日本国民を救えるのか、それを考えるためにも、戦後の日本経済の政策の流れを見る必要があります。 講義では、学生からの質問を重視します。日々起こる日本経済の問題に目を向け、自分なりに考え、起こった疑問を是非出してもらいたいと考えています。そのため、授業の前段は、学生から出された質問の内容をテーマに講義を行う予定です。 到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
本講義の到達目標は、下記のようになります。
①世界経済、日本経済の状況について常に関心をもち、自分で調べる習慣を付ける ②メディアの報道をうのみにせず、何事もまずは「疑う」ことから始め、その問題の背景を考える。 ③起こった事件の背景を、経済学的な視点で考えられるようになる。 【身につく力】「知識・理解」 、「論理的思考力・分析力」 「斬新な発想をする力 」 授業計画
第1回 ガイダンス
第2回 固定相場制度下の日本経済 第3回 全国総合開発計画 第4回 石油危機と経済の変革 第5回 変動相場制度と日本経済 第6回 バブル経済 第7回 産業の空洞化と企業の国際化 第8回 失われた10年から30年へ 第9回 日本の歴史にみる経済政策➀ 古代編 第10回 日本の歴史に見る経済政策➁ 戦国時代、江戸時代編 第11回 日本経済の復活のための政策 物流改革 第12回 日本経済の復活のための政策 第13回 中国経済の発展と中国経済の行方 第14回 アメリカ経済とドルの行方 第15回 総括 上記の授業計画の順序等は、世界の経済状況や学生の理解度・関心度によって、変わる場合があります 関連科目
ミクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、マクロ経済学基礎Ⅰ・Ⅱ、現代日本経済事情Ⅰ・Ⅱ、国際経済基礎Ⅰ・Ⅱ、国際金融論 、国際貿易論
準備学習等の指示
多くの経済(学)用語は、日常的に新聞やテレビ、インターネットなどのメディアで使われています。まずは、テキストの中のわからない専門用語、メディアで聞く用語については、自分で調べ、確実に使えるようになりましょう。
この授業は、学生の質問を重視します。常に、いま世界経済や日本経済で何が起きているか、常にチェックし、疑問に思ったことについてノートに書き留めておきましょう。 教科書
2025年8月に出版予定の『日本の経済政策(仮題)』がテキストとなります。
参考文献
講義の中で、別途支持します。
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
定期試験70%、授業参加度30%で評価します。
実務経験と授業との関連
備考
ミクロ経済学、マクロ経済学を学んでおくと、より理解が深まります。
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