シラバス情報

科目名
行動経済学
授業コード
21014
担当者名
森本 敦志
副題
人間の判断と選択を読み解く!
科目ナンバリング
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2026年度前期
教職免許種類

授業内容
この授業では、経済学が思い描く「合理的に行動する人」と、私たちが実際にとっている行動との違いに注目しながら、行動経済学の基本的な考え方を学びます。

私たちが日常の中で行う様々な判断には一定のクセ(バイアス)があります。具体的には、直感的に物事を決めてしまう思考の近道(ヒューリスティック)、思い込みや判断の偏り(バイアス)、得よりも損を強く感じてしまう心理(損失回避)、将来より「今」を優先してしまう仕組み(現在バイアス)などです。難しい数式は使いません。身近な例や実験結果を通して理解を深めていきます。

また最後には、VR(仮想現実)を使って、買い物をテーマにした実験を行います。価格の表示方法が変わったら? 商品の並び方が違ったら? そのとき、あなたの選び方はどう変わるでしょうか。実際に体験しながら、これまで学んだ理論がどのように現れているのかを確かめます。

買い物、時間の使い方、人との関わり方など、身近な行動を材料にしながら、「なぜそう選んだのか?」を少し立ち止まって考えてみましょう。

より現実的で応用的な内容については、後続科目である「実践行動経済学」で扱います。


到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
【到達⽬標】
・行動経済学の基本が理解ができること
・自らの行動を振り返り、根拠をもって説明できること
・現実の課題に経済学が役立つことを知ること
【身につく力】
「知識・理解」「論理的思考⼒・分析⼒」「問題解決力」
授業計画
第1回 オリエンテーション:行動経済学って何だろう?
  • この授業で何を学ぶのか、進め方と評価方法
  • 行動経済学の考え方と、基本的な経済学との違い
  • 私たちの日常に見られる「うまく判断できない」行動の例
第2回 人はすべてのことを考えきれない:かんたんな判断に頼る理由
  • 人の判断には限界がある(限定合理性)
  • すばやく決めるための「近道の考え方」(ヒューリスティックス)
  • なぜ私たちは情報を単純化して判断してしまうのか
第3回 認知バイアス①:人は最初の情報や身近な例に引っぱられる
  • 最初に見た数字や情報の影響(アンカリング)
  • 思い出しやすい情報を重視してしまう傾向(利用可能性バイアス)
  • 判断がどのように偏ってしまうのかを具体例で考える
第4回 認知バイアス②:人は伝え方や基準で選択は変わる
  • 言い方が変わると選び方も変わる(フレーミング効果)
  • 何を基準に考えるかで評価が変わる(参照点依存)
  • 同じ内容でも判断が変わってしまう理由
第5回 不確実な状況での選択①:人は確率と結果をどう考える?
  • 先の結果がはっきりしない状況での選び方
  • リスクに対する人の行動の違い(避ける/気にしない/好む)
第6回 不確実な状況での選択②:人の得と損の感じ方
  • 得をしたとき、損をしたときの感じ方の違い
  • 「損」のほうが強く感じられる?
  • 経済学の基本的な考え方とどう違うのか?
第7回 「今」を優先してしまう人の行動
  • 将来より目先を選んでしまう(時間割引)
  • 締切が近づくと判断が変わる(双曲割引)
  • 先延ばしが起きるしくみ(現在バイアス)
第8回 社会の中での選択①:公平さと助け合い
  • 自分だけでなく、他人のことも考える選択
  • 独裁者ゲームを通して公平性や利他性を体験する
第9回 社会の中での選択②:協力と公共の問題
  • みんなで使うもの(公共財)とは何か
  • ただ乗り(フリーライダー)問題と協力のむずかしさ
  • ルールや信頼、罰が果たす役割を考える
第10回 市場と心理:価格はどう感じられている?(参照点から考える)
  • 価格は周りとの比較で判断される
  • 比べ方によって評価や選択が変わる
  • 価格が満足感や判断に与える影響
第11回 ナッジ:自然に行動が変わるしくみ
  • 強制せずに行動をそっと後押しする(ナッジ)
  • 規制や報酬(インセンティブ)との違い
  • なぜナッジは効果を持つのか
第12回 VR実験①(アンカリング効果・参照点依存):仮想のお店での買い物体験
  • VR空間での消費者の購買行動を観察する
  • 商品の価格表示のしかたや並べ方で選択がどう変わるか
第13回 VR実験②(選択アーキテクチャ):選択の環境が行動を左右する
  • 商品の選択肢の数を変えた場合、消費者の選択は変化するか?
  • ナッジによる工夫で消費者の行動変容は起きるか?
  • VR実験を通して「選ぶ環境」の大切さを体感する
第14回 行動経済学を使っている事例紹介
  • 政策への応用(省エネ・健康・納税)
  • マーケティングへの応用(価格表示・デフォルトの設定・商品の評価)
  • 組織や日常生活への応用
第15回 まとめと振り返り
  • 行動経済学が明らかにしたこと
  • 行動経済学の限界と注意点
  • 標準的な経済学との関係を整理する
関連科目
【並行科目】ミクロ経済学基礎Ⅰ マクロ経済学基礎Ⅰ
【後行科目】ミクロ経済学基礎Ⅱ マクロ経済学基礎Ⅱ 実践行動経済学
準備学習等の指示
  • 事前学習(約45分)
次回授業で扱う教科書の該当箇所を読み、基本的な用語や理論の概要を把握しておくこと。
  • 事後学習(約45分)
授業で扱った内容を振り返り、講義中に示された具体例と理論との対応関係を整理し、理解を深めること。
教科書
  • 分析者のための行動経済学入門/黒川博文: ソシム, 2024, ISBN: 978-4004317951
参考文献
  • 行動経済学入門/筒井義郎他: 東洋経済新報社, 2017, ISBN: 978-4492314975
  • 行動経済学の使い方/大竹文雄: 岩波書店, 2019, ISBN: 978-4004317951
定期試験の実施
定期試験を実施します。
成績評価の方法
授業は毎回出席することになっています。欠席は、皆さんの学びにとっての損失となります。
  • 毎回の授業課題(20%)
  • 定期試験(80%)
実務経験と授業との関連
なし
備考
・座学で行う授業ですが、授業の中でクリッカーを使用して受講生とコミュニケーションをとりながら進めます。
・授業資料は授業日3日前までにHUE NAVIに掲載します。印刷するかパソコンやタブレットにダウンロードするなどして授業に持参してください。
・パソコンは毎回持参してください。
・ミクロ経済学基礎Ⅰ・マクロ経済学基礎Ⅰについては履修済みである必要はありません。