シラバス情報

科目名
業務アプリ作成演習
授業コード
24046
担当者名
杉山 克典、田中 章司郎
副題
モバイル・クラウド連携ビジネスアプリを作る
科目ナンバリング
単位数
2.00単位
配当年次
2年
開講学期
2026年度後期
教職免許種類

授業内容
この科目では,プログラミングが得意でなくても作れるローコード開発を使って,スマートフォンで動く業務アプリを作ります。企業で広がっている「市民開発(現場の人が自分で業務改善の仕組みを作ること)」を,学生のうちに体験することが目的です。扱うツールは Microsoft Power Platform(Power Apps / Power Automate / Power BI)です。
 授業では,大学内の業務を題材にした「落とし物管理システム」を,データの保存からアプリ画面,通知・自動化,集計ダッシュボードまで一貫して作成します。特徴は「手順が見える」ことです。資料(手順書)どおりに画面を操作し,指定された場所に入力していけば,最終的に目的とするシステムが完成するように授業を設計しています。つまり,“自分でゼロから考えてコードを書く”ことよりも,「設計の考え方」と「正しく組み立てる手順」を身につけることに重点を置きます。
具体的には,
・SharePoint リスト:データを保存する場所(項目・型・制約・運用ルール)を設計
・Power Apps:入力/閲覧の画面を作り,検索・絞り込み・状態(返却/未返却)などの動きを実装
・Power Automate:通知やデータ取り込み(Excel→SharePoint など)を自動化
・Power BI:集計指標(DAX)を作り,ダッシュボードで見える化
を段階的に学びます。
 あわせて,情報システムの基礎(要件定義,データ設計,業務フロー,ガバナンス/セキュリティ,評価)も扱い,最終回では生成AI(Copilot)を使った今後のアプリ作成の可能性と注意点を議論します。

到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
・ローコード開発(少ないプログラミングで作る開発)の特徴と,企業・組織での市民開発/ガバナンス(ルール作り)の要点を説明できる
・クラウド上のデータ保存(SharePoint リスト等)を,データ型・制約・運用を意識して設計・構築できる
・業務要件(何をしたいか)を整理し,ユースケース/業務フローに沿って,入力・閲覧画面をUI/UXの観点から設計できる
・Power Apps 等で,検索・フィルタ・画面遷移・更新処理など,必要なロジックを実装できる
・Power Automate で,トリガ・条件分岐・通知を含む業務フロー自動化,および Excel→SharePoint 取り込み等のデータ連携(ETL)を設計できる
・Power BI でデータモデルを理解し,DAX による指標(メジャー)定義とダッシュボード可視化ができる
・モバイル端末とクラウドを連携したデータ登録・運用を実践し,改善点を評価・考察できる
・生成AI(Copilot Studio 等)を活用したAI駆動アプリ開発の可能性とリスクを,自分の言葉で論じられる

【身につく力】「知識・理解」,「問題解決力」,「論理的思考力・分析力」
授業計画
第01回 オリエンテーション:科目のねらい・評価方法・演習環境の確認/市民開発とガバナンス(座学)
第02回 Microsoft365 / Teams / SharePoint の基礎操作(共同作業・ファイル管理)
第03回 要件定義(業務フロー・ユースケース)と SharePoint リスト設計(データ型・項目)
第04回 SharePoint リスト作成:列定義・制約・画像/日時の扱い・データ品質
第05回 ビュー設計と運用設計:ギャラリー表示/フィルタ/権限とライフサイクル
第06回 Power Apps(1):アプリ初期構築と3画面(Browse/Detail/Edit)の構造理解
第07回 Power Apps(2):フォームと画面デザイン(UI/UX)・フィールド編集
第08回 Power Apps(3):ロジック実装(更新処理,状態管理:返却/未返却)
第09回 Power Apps(4):検索・並び替え・絞り込みとユーザビリティ改善
第10回 モバイル連携:実機テスト(画像登録等)と運用上の留意点
第11回 Power Automate(1):トリガ/条件分岐/通知など業務フロー自動化の基礎
第12回 Power Automate(2):Excel→SharePoint 取り込みフロー(タイムゾーン変換等)によるデータ連携(ETL)
第13回 Power BI(1):SharePoint Online リスト接続,データモデル/整形の基礎
第14回 Power BI(2):指標設計(DAX)とダッシュボード可視化/総合テスト・成果発表
第15回 AI駆動アプリ開発の展望:Copilot Studio 等による拡張と,データ・ガバナンス・評価(座学)


関連科目
情報システム論Ⅰ,Ⅱ,情報システム論演習,コンピュータ基礎Ⅱ
準備学習等の指示
・毎回の授業で,「分かったこと/分からないこと」を短くメモする習慣をつけてください。
・授業後は,配布資料の手順をもう一度なぞりながら復習し,操作を再現できる状態にしましょう(目安:毎回30分以上)。
・つまずいた点は,どこまでできてどこで止まったか(画面名・入力値)を残して,次回の授業で質問してください。
・必携ノートパソコンを使用します。


教科書
香川大学情報化推進統合拠点DX推進研究センター「業務システム内製開発応用編」Kindle版または丸善電子教科書サービス(予定),2,750円。


参考文献
・香川大学情報化推進統合拠点DX推進研究センター「業務システム内製開発入門編」Kindle版,2750円
・日経BP「さわって学べるPower Platformローコードアプリ開発ガイド 全面改訂版」日経BP,3300円,ISBN 978-4296206971。必要な場合には適宜文献等を紹介します。


定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
到達目標について,アプリ成果物(60%),レポート・練習問題(25%)により評価します。授業への参加度・受講姿勢は15%です。11回以上出席がある場合は授業への参加度として合計点に1回1点として加味します。
 レポート・練習問題では,業務要件の整理・設計,SharePoint/Excelのデータ設計と品質,Power Appsによる実装とUI/入力検証,Power Automateによる連携・データ取込と例外対応,Power BI/DAXによるKPI設計と可視化を評価します。
 実際の成果物(アプリ,フロー,ダッシュボード)については,「なぜその設計にしたか」「資料どおりに手順を踏めば同じものを再現できるか(再現性)」「あとから直しやすいか(保守性)」「業務がどう良くなるか(改善効果)」も評価対象とします。
 授業中に注意しても私語,スマートフォンのゲームをやめないなど受講マナーを守れない学生には,厳しく対処します。


実務経験と授業との関連
備考
授業時間で伝えられなかった連絡事項などがある場合はHUEナビに掲載しますので,授業の前に参照してください。初回授業で,演習環境,評価方法,教科書・資料(手順書)の使い方を説明します。以降は,その内容どおりに進めることで,目的のシステムを段階的に完成させますので,必ず出席してください。