シラバス情報

科目名
実践行動経済学
授業コード
21035
担当者名
森本 敦志
副題
行動経済学を使ってみよう!
科目ナンバリング
単位数
2単位
配当年次
2年
開講学期
2026年度後期
教職免許種類

授業内容
私たちは直感で物事の判断をします。買い物するとき、広告を見るとき、アプリを開くとき、じっくり考えることよりも、「なんとなく」「パッと見て」「いつも通りのクセで」判断してしまう。この直感のショートカットをヒューリスティックといいます。

直感は便利だけど、ミスも起こします。たとえば最初に見た値段に引っ張られる(アンカリング)や表現の仕方で受け取り方が変わる(フレーミング)、損をとても強く感じる(損失回避)などが、私たちの選択を左右します。企業はこの私たちの人間らしいクセ=バイアスを利用してビジネスを行っています。

この授業では、行動経済学の考え方を手がかりに、ビジネスの場面などにおける課題を見つけ、改善案を考え、そして提案することを目指します。たとえば、サービスや制度をより利用しやすくするための方法、アルバイト先・職場でのミスを減らす仕組みや学習や課題提出の先延ばしを防ぐ工夫など、現実の場面を想定したテーマを扱います。

この授業の魅力は、次の3つです。
  • 学んだことをすぐに試せる!
  • チームでアイデアを出し合う楽しさ!
  • 将来の仕事にも役立つ力を磨く!

【毎回の授業方法】
1 前回の授業振り返り:前回授業でもらった学生からのコメント披露と回答
2 事例での授業内容説明:次のケース・スタディに必要なコンテンツをこの時間に解説
3 ケース・スタディ(グループワーク):テーマを提供します。グループでワーク
到達目標と卒業認定・学位授与の方針との関連
【到達目標】
・ビジネスを経済学の視点から説明できる
・ビジネスの広告・価格・デザインの裏にどんな人の行動のクセが使われているかを見抜ける
・どうすれば人が動くか」を考え、簡単な改善提案ができる
【身につく力】
「知識・理解」「論理的思考⼒・分析⼒」「問題解決力」「協働して成し遂げる力」
授業計画
第1回 ガイダンス:なぜ人は「合理的に失敗する」のか
  • コンビニで予定外の商品を買ってしまう理由
  • サブスク解約忘れの実例
ケース・スタディ(グループワーク):自分の最近の「後悔した消費」
第2回 価格の見せ方で選択は変わる(アンカリング効果と参照点・フレーミング)
  • 「1,980円」と「2,000円」
  • 松竹梅メニューの真ん中が一番売れる理由
  • サブスクの3プラン構成
ケース・スタディ(グループワーク):コンビニ商品を1つ選び、売れやすい価格表示に作り替える        
第3回 「限定」「今だけ」に弱い人間(希少性)
  • 「残り3点」「本日限り」「期間限定」が与える影響
  • 観光・EC・イベント集客の成功事例
ケース・スタディ(グループワーク):架空イベントの集客文言の作成
第4回 損をしたくない心理を使った仕組み(損失回避)
  • ポイント失効通知
  • 「今買わないと損」と強調する価格表示(年払いの方が◯円お得 など)
  • 返金保証・全額返金制度
ケース・スタディ(グループワーク):同じサービスを「得を強調する設計」と「損を強調する設計」で比較し、その違いを考える
第5回 比較されると人は判断を誤る(文脈効果)
  • 家電量販店の売り場
  • 不動産サイトの並び順
  • 就活サイトの企業比較
ケース・スタディ(グループワーク):Webサイトの掲載順を変えて、選ばせたい商品を考える
第6回 デフォルトの力:人は「そのまま」に流される(現状維持バイアス)
  • アプリの初期設定
  • 社内制度の初期設定
  • 保険・年金の自動加入
ケース・スタディ(グループワーク):申込・設定・手続きの場面を想定し、望ましい選択が自然に選ばれる初期設定を考える
第7回 行動を続けさせる仕組み:「やる気」に頼らない工夫(双曲割引・現在バイアス)
  • 健康診断の受診や運動習慣を促す仕組み
  • アプリや環境設計による行動の継続支援
  • ゲーミフィケーションを用いた行動変容の事例
ケース・スタディ(グループワーク):運動不足や学習習慣などを題材に、無理なく行動が続く仕組みを考える
第8回 マーケティング:広告・口コミはなぜ人を動かすのか(社会的証明)
  • 同じ商品でも反応が変わる広告表現とキャッチコピー
  • レビュー評価や口コミが購買判断に与える影響
  • SNS広告やインフルエンサー活用の事例
ケース・スタディ(グループワーク):広告文を2パターン作る
第9回 「いいことしたくなる」心理:人はなぜ協力してしまうのか(利他性)
  • 寄付・募金・ボランティアに人が動かされる理由
  • 「みんなやっている」「感謝される」が効くしくみ
  • 善意をうまく引き出す設計と、やりすぎの落とし穴
ケース・スタディ(グループワーク):学内・地域・アルバイト先を想定し、「協力したくなる仕組み」を考える
第10回 組織・職場での応用:行動を変える社内制度(ナッジ)
  • 残業削減や会議時間短縮に成功した社内制度の事例
  • 報告書提出率向上や手続き改善に見られる行動設計
  • 不正やヒューマンエラー、申請ミスを防ぐ仕組みとUI
ケース・スタディ(グループワーク):アルバイト職場の改善提案
第11回 社会はどうやって動いている?行動経済学で考える公共のしくみ(ナッジ)
  • 税金を「払いたくなる」工夫
  • 事故を減らすためのちょっとした仕掛け
  • ゴミ分別がうまくいく自治体の共通点
ケース・スタディ(グループワーク):地方自治体の立場になって、「行動を変える仕組み」を考える
第12回 VR実験①:仮想のお店で「選び方」をのぞいてみよう(選択アーキテクチャ)
  • VR上のコンビニ/ショップで商品を選ぶ体験
  • 値段の見せ方や並び順で、選ぶ商品がどう変わるか
  • 「なぜそう選んだか」を行動経済学の考え方で整理
ケース・スタディ(グループワーク):選択を振り返り、「どの仕掛けに影響されたか」を言葉にする
第13回 VR実験②:知らないうちに誘導される?選択のしくみ(ナッジ)
  • 初期設定や選択肢の数を変えたVR体験
  • ナッジによって行動がどう変わるかを比較
  • 「自由に選んでいるつもり」の正体を考える
ケース・スタディ(グループワーク):VRで体験した仕組みを、学校・アプリ・お店に置き換えて考える
第14回 プレゼン資料作成
これまでに学んだ行動経済学の実践についてのプレゼン資料作成
第15回 最終報告・講評
最終報告・講評
関連科目
【先行科目】 行動経済学 ミクロ経済学基礎Ⅰ マクロ経済学基礎Ⅰ
【並行科目】 ミクロ経済学基礎Ⅱ マクロ経済学基礎Ⅱ 
【後行科目】 ミクロ経済学 マクロ経済学
準備学習等の指示
  • 事前学習(約45分)
各回の授業のテーマに沿って、行動経済学のテキストや資料を事前に調べ、基本的な用語や考え方を把握しておくこと。そして、日常生活の中での事例を観察しておくこと
  • 事後学習(約45分)
授業後は、配布資料やノートを用いて理解を深めるための復習を行うこと。
教科書
  • 教科書は使用しません。下記の関連書籍を参考にしてください。

参考文献
  • サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学/阿部誠: 新星出版社, 2021, ISBN: 978-4405120112
  • 予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ダン アリエリー: 早川書房, 2013, ISBN: 978-4150503918
  • 行動経済学の使い方/大竹文雄: 岩波書店, 2019, ISBN: 978-4004317951
定期試験の実施
定期試験は実施しません。
成績評価の方法
グループワークを行いますので、授業は毎回出席することになっています。欠席は、皆さんの学びにとっての損失となります。
  • 授業内課題・授業への参加度(70%)
各回のグループワークへの取り組みを通じて、行動経済学の考え方を用いて身近な事例から課題を見つけ、その背景にある行動の仕組みを理解・説明できているかを評価します。そして行動をより望ましい方向に導くための改善案や提案を論理的にまとめているか、またグループでの議論や発表に主体的に参加しているかの観点で評価します。
  • 最終報告(30%)
実務経験と授業との関連
なし
備考
・パソコンは毎回持参してください。
・授業資料は授業日3日前までにHUE NAVIに掲載します。印刷するかパソコンやタブレットにダウンロードするなどして授業に持参してください。
・毎回授業ではグループワークを行います。1グループは5〜6名となります。
・第11回目までは、授業ごとにグループを作ります。
・第12回以降は、グループメンバーを固定します。
・第14回目、15回目はグループごとの全体報告を行います。