本論では,CAPMを基にした評価法とベンチャー企業の価値評価の関係に焦点を当てる。本論前半においてCAPMに基づく二つの評価法の理論的関係を考察し,それをベースに簡単な数値例を設けて,それを分析することによって両手法の特徴を浮き彫りにしていく。具体的には,まずCAPMを理論的に導出する。そして,それを基にRADR法とCEQ法の理論的関係を明らかにし,両評価法の定式化を行う。次に,両評価法をベンチャー企業の価値評価に適用する際の,データの見積もり方の概要を簡単に整理し,RADR法の欠点も示す。最後に,簡単な仮設例を設定し,それを検討することによって,両評価法の比較を行う。