本論は、2,007年東証一部上場企業の中で、明示的な買収防衛策(ポイズンピル)を導入した企業と非導入企業のデータを基にして、経営者がいかなる意図で防衛策の導入を行ったかを実証的に分析したものである。本論では、経営者保身行動と信頼の破壊抑制仮説を中心として、これが成立するのかどうかをプロビットモデルに基づいて実証分析を行った。 結果として、経営者保身仮説がほぼ肯定され、信頼の破壊抑制仮説が部分的に肯定された。また、企業が古く企業規模が大きい企業は、防衛策を導入しやすく、株式所有の集中度が低く、分散度が高く外国人株主の持株比率が高い企業ほど防衛策を導入しやすいことが示された。