本論では、買収・合併などの企業再編において、買収企業側(存続会社側)の経営者が利益増加型の利益調整を行っているかどうかについて1999年から2007年の間で企業再編を行った日本の企業を対象に実証分析を行った。特に、その企業再編が株式交換や現金を対価としたものなど、対価の支払い手段によってどのような違いがあるかについて主に分析をした。本論の分析の主要な結論として、次の2点があげられる。第一に、株式交換による再編企業の経営者による利益増加型利益調整は、当初の想定とは違い、行われていないということである。第二に、現金を対価とする (TOB)再編企業の経営者による利益増加型利益調整が行われているということである。この第二の結果は、先行研究には見られない、本研究で新たに得られた成果である。