本論は、マネタリスト(フリードマン)の経済理論、特に金融政策に関する諸理論を、マネタリズム論争の構図でとらえつつ、ケインズ経済学との比較によって、考察したものである。第1章では、マネタリズム論争前半の流れに鑑み、貨幣数量説、貨幣需要関数を学説史的に考察した後、貨幣量→名目総需要論争を裁量方式とルール方式のコントラストの枠組の中で分析している。第2章では、インフレーションの問題を動学的に考察し、それによって名目総需要→物価と生産論争に対するフリードマンの主張を明らかにして行き、そのさい非常に重要な概念となる「期待」に関する諸理論を補章においてフォローしている。