論文

基本情報

氏名 重本 洋一
氏名(カナ) シゲモト ヨウイチ
氏名(英語) Yoichi Shigemoto
所属 広島経済大学 経済学部 経済
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

地域銀行の有価証券運用に関するパネル分析

単著・共著の別

単著

著者

 

担当区分

 

概要

本論は1998年度から2015年度の地域銀行の個別財務データに基づいて、地域銀行の収益構造と資産構成の動向を概観するとともに、地域銀行の有価証券運用がその収益性にどのように影響を与えたかについてパネル分析により検証した本論はさらに、有価証券運用が裁量的会計行動としての、いわゆる「益出し」に利用されてきたのかどうかという論点にも着目し、補論的にではあるが考察の対象とした。結果として、総合的な判断より、有価証券運用による「益出し」行動が要所で行われている可能性を指摘した。
 3章での結果は次のとおりである。第一に、地域銀行の本業での収益力が一貫して低下しており、その主な要因は資金収支の趨勢的低下にあると考えられる。第二に、その本業の収益力の低下を、サービス手数料ビジネスである役務取引収支でカバーしている傾向がみられる。第三に、資金収支の低下は、預貸ギャップの拡大と資金利鞘の縮小を中心とする預貸ビジネスの低迷にあると考えられる。第四に、地域銀行の保有資産のうち有価証券の保有割合が大きくなってきており、その有価証券も徐々にリスク性資産の割合が増えてきている。第五に、これらの傾向を反映するように貸出金利回りが低下の一途をたどり、有価証券利息配当金利回りが徐々に回復し、これを補完する傾向がうかがえる。
 4章、5章の実証分析の主な結果は次のとおりである。第一に、分析対象期間の前半期においては、純利益ベースの収益性に対して株式運用業務は大きく貢献しているものの、債券運用業務は貢献していない。第二に、後半期では債券運用業務と株式運用業務の両方とも純利益ベースの収益性に大きく貢献している。第三に、経常利益ベースの収益性に対しては、債券運用業務と株式運用業務の両方とも純利益ベースの収益性に大きく貢献している。その他、本論全体の総合的な検証において、地域銀行が「益出し」行動をその状況に応じて行ってきたことが示唆された

発表雑誌等の名称

広島経済大学創立50周年記念論文集 上巻

出版者

 

 

開始ページ

終了ページ

 

発行又は発表の年月

2017/07