現在のトランプの支持者たちのあいだには「福音派」と「スコッツ・アイリッシュ」という二つのグループが存在する。 リベラルなアメリカは前者を「狂信的な原理主義者」の亜種として、後者を「人種差別主義的なレッドネック」として くくってきた。だが、両者の歴史はより複雑で多面性を有している。福音派はその定義さえ定かでなく、歴史をさかの ぼればリベラルとの共通点までもがみえてくる。スコッツ・アイリッシュの歴史は、スコットランドとイングランドの 国境地帯にはじまり、北アイルランドを経て、アメリカのアパラチア山脈へとつながる。よそ者に上から目線で指示さ れることを嫌う荒くれ者たち。全米の白人労働者階級の中心。『ヒルビリー・エレジー」の J・D・ヴァンスの出自―。 本書ではリベラルなアメリカの「シャドウ」と化している福音派とスコッツ・アイリッシュの歴史を 掘り起こし、彼らの世界の実像に迫る。