1880年代後半のハワイ王国では、アメリカ人宣教師の子孫を中心とする福音派が、宗教・政治の両面でハワイの白人勢力を結集させ、カラカウア国王自らが主導したハワイアンの異教文化の復興に対抗しようとしていた。彼らにとって、ハワイの異教への逆行を助長するものはすべて敵であった。そのなかにはハワイの主教派内のアングロカトリック派も含まれていた。この報告では、福音派がアングロカトリック派の何を問題としたのか、両派の争いがハワイ王国転覆とどのような関係にあったのかについて考察した。また福音派とは何かという問いにも歴史的な視点からのアプローチを試みた。