Intelが「ウルトラモバイル」のコンセプトと技術開発戦略の下に事業戦略を一新してから、IT産業界の中でもとりわけモバイル市場では、「親Intel」と「反Intel」に二派に分かれ、激しく対立しながら、同時に双方が著しい技術的な進展を果たした。反Intelの勢力はハードウェアプラットフォームをARM社ライセンスの技術に絞り込み、技術標準化の取り組みを行うことなしに、相互互換性のない多様な独自プラットフォームを開発してきた。一方において、Intelはx86プラットフォームを順調に小型し、ATOMプラットフォームを携帯端末中に商用可能なZ6シリーズの量産段階にまで到達してきた。本稿は、このIntel(親Intelを含む)と反Intel勢の技術開発戦略の動向を検証を行い、今後のモバイル製品向けハードウェアプラットフォームの将来的な発展を示し、ソフトウェアプラットフォームを含め、今後の課題を明らかにしている。また、この検証作業からこれらの企業とプラットフォーム技術がこれまで日本企業の独占してきた家電市場を次の標的とし、極めて早期の進出が予想されることを特記している。Intel、Apple、Microsoft、Googleなどの欧米型巨大IT企業は巧みな顧客ロックイン戦略を駆使して、国内家電産業やIT企業を広範なデファクトスタンダード競争へと引き込もうとしており、「ガラパゴス」とも称されながらも、世界規模の競争を回避してきた日本企業を窮地へと追い込もうとしていることに警鐘を鳴らしている。