本研究は、携帯電話市場においてNokia、Motorola、RIMの三社の失速が明らかになり始めた2009年にスタートした。 この焦点はAppleとSamsungの驚異的な成長ペースの解明にあった。 事業規模の拡大があまりにも高次で、かつ桁違いに高速であったために、従来型のマーケット重視の事業戦略方法論との間に多くの論理的な矛盾を生じさせていた。その後の研究から、スマートフォン市場が急速に形成される過程において、AppleとSamsungの二社が競合他社とは明らかに異質の事業戦略を採択していることが鮮明になり始めた。 同時に、この二社の成長戦略は、従来のようにマーケティングを中核に置くのではなく、よりリニアにロックイン戦略のアプローチを応用していることも鮮明になった。 二年半の情報収集と経過分析を経て、この二社の事業戦略の基本検証を終えた。 本稿は、Apple の事業戦略の中でも市場参入策と初期の成長戦略について纏めた後編である。