1980年代後半から始まった「オブジェクト指向ブーム」は、「オブジェクト指向」を流行語としたと同時に、その弊害として多くの矛盾と誤認を蔓延させる結果となった。本論文は、これまで未定義であったオブジェクト思考(指向)の概念を、「オブジェクト指向誕生」まで遡り、進化の過程とともに検証を行い、その明確な定義を行っている。結論として、現状のオブジェクト指向プログラミングは正確には「クラス指向プログラミング」であり、「オブジェクト指向」にはなり得ず、この矛盾が現在の所謂「オブジェクト指向症候群」を引き起こしていることに言及している。