2009年にはIEEEから802.16/16e(WiMAX系)が、また2010年には3GPPからLTEが、双方ともに未成熟な機能と技術を残しながらも、事業開始した。 WiMAXは当初から2009年を本格運用の目標に掲げていたが、LTEは半ば強引に運用開始時期をWiMAXへ同調させようとしていた。 技術開発主管組織の異なる類似した二つの通信規格が現れ、実質的に、これらはIMT-Advancedの次世代の技術開発領域へと既に踏み入っていた。 ここが本研究の開始点となった。 以降、この動向を注視し、世界的な普及状況と業界動向の調査を継続してきた。 結果的に、ITUはIMT-Advancedの開発期間中に運用を開始した「WirelessMAN-Advanced」と「LTE-Advanced」をともに、2012年に「次世代移動体通信向けの規格」として承認したが、移動体通信業界の争点はこれらの知的財産権へと移っていた。 本稿は、この開発経過と普及状況を遡りながら、現状の移動体通信業界の事業環境的な課題について検証を行い、それらの争点も踏まえて論じている。