2002年10月、トヨタ自動車は世界で初めて第3世代移動体通信装置を標準搭載する「WiLL Cypha」の販売を開始した。この新型車両は、同社のe-ビジネス・サイト「GAZOO」との連携、緊急時や盗難時の車両追跡、ネットワーク経由でのデジタルコンテンツへのアクセスやダウンロード機能など、多彩な新機能を備えており、「自動車両と通信の融合」への第一歩を踏み出したと言えよう。トヨタ自動車内には、既に「e-Toyota事業部」が設置されており、「G-BOOK」と名付けられたこの新システムの推進に全力を挙げている。本研究は、トヨタ自動車のITS(Intelligent Transportation System)戦略の中でも、テレマティックスシステムに相当する、このG-BOOKに関わる先端技術とビジネスモデルについての検証を行なうものである。本稿は、この第一歩として、このG-BOOKシステムの中でも、この車載システムに採用されている先端技術の検証、またこの開発協力を行なったパートナー企業の技術力などを検証することによって、G-BOOK車載用システムの問題点や課題を明らかにしている。また、この問題点と課題から、異業種合同プロジェクト「WiLL」ではなく、トヨタブランドとして搭載される予定の次期G-BOOKへの仕様変更点などを提言している。