本稿は、ジョコ・ウィドド現政権が掲げる国づくりのコンセプト、すなわち、戦後、"独立の精神"としてスカルノが用いた"トリサクティー"の再解釈と、その具現化であるナワチタ(政策9原則)について考察した。年5%の経済成長の続く新興国として自信を深めるなか、前政権のユドヨノが拓いた新時代をこれら2つのコンセプトを取り入れながら継承発展させようとしているのがジョコ政権の特徴である。その背後には、経済発展の一方で、一向に減らない汚職や多民族国家の根幹を揺るがす不寛容等が山積している点を指摘するとともに、その処方箋について言及した。