本書は心理学の各領域をコンパクトに10章に分けて取り上げ、日常生活を主な題材にして、身近な例などを盛り込んだ本文と、わかりやすい図表を左右ページ見開きの構成で配置し説明する形で企画された書である。 この神田義浩・唐川千秋・山下京子・森田裕司・広兼孝信(編著)『心理学ナヴィゲータ』(北大路書房)において、著者は編集発起人として企画から一貫して中心的役割を担い、全体構成から章立て、個々の内容の厳選までを責任編集の形で担当した。 具体的執筆の箇所は、第1部『世界を分析する』を構成する2つの章である。第1章「知覚」では、私たちの外界との相互作用をつかさどる知覚のしくみを、多義図形や主観的輪郭線、幾何学的錯視や知覚の恒常性といった、物理的世界と一線を画する心理的世界固有の現象を手がかりに論じた。第2章「認知」では、さらに時間的・空間的に広がりのある認知活動を担う大脳半球と心理学的現象とのかかわりを検討した。具体的には脳の直接刺激実験や分離脳患者の認知の特異性といった神経心理学的観点から述べるとともに、パターン認識や静止網膜像の実験結果をもとに、それらの過程の根底にあるトップダウン処理とボトムアップ処理の機構について考察した。 また発展的学習のために「さらなる学習のために」と題した付録(25頁)を設け、専門用語の「用語解説」、内容に関連した「ブックガイド」、インターネット上のさまざまな情報源を紹介した「インターネット資源」を取り上げた。[執筆頁数50頁][共著者:唐川千秋・山下京子・森田裕司・廣兼孝信] Pp.1-38. 189-192. 202-203. 208-213.