心理学の各研究領域をエピソードや事例を中心にした読み物(リーダー編)と、図表や統計を中心に紹介した資料(アトラス編)の2分冊から成る、田中國夫・秋山俊夫・足立正常・飯田良治・西山啓・山内光哉・米澤富士雄(編著)『図解心理学』(北大路書房)のATLAS第3章「知覚」のなかで知覚現象一般について述べた。 具体的には知覚の4つの側面を取り上げた。 1.「知覚機能の成立」では混沌とした刺激布置のなかから図と地の分化が可能な場合にのみ知覚が成立することを事例をもとに示した。 2.「環境の知覚」では、2次元や3次元空間における幾何学的錯視や恒常現象、ゲシュタルト法則などを中心に心理的世界の特徴について述べた。 3.「脳の働きと情報処理」では、知覚・認知をつかさどる脳内機構について、脳の電気刺激実験や離断脳症候群などの臨床例の研究成果をまじえて述べた。 4.「知覚の応用」では、視覚とアートの関係をポップアートやオランダ人版画家M.C.エッシャーの版画などの作品を紹介して述べるとともに、人間工学的デザインの視認性について論じた。 また、知覚に関する専門用語20項目について「用語解説」の項で解説した。[執筆頁数24頁]
ATLAS第3章(pp.34-52)、用語解説(pp.143-148)