認知機能についての左右大脳半球の機能差(ラテラリティ)に関するさまざまな研究の中でも、「漢字」を研究材料にした研究は半球機能差についての本質的・普遍的側面を明らかにする可能性を持つ研究として日本(あるいは東洋)のみならず西洋の研究者からも大変注目されている。 この文字でありながら意味的・音韻的情報と形態的・図形的情報を合わせ持つ「漢字」がどのように情報処理されているかについての内外の研究を実験方法や実験条件などを中心にレビューした。 そして漢字の情報処理が形態分析・音韻分析・意味分析の3水準のどの水準で行われているかに関する諸研究において採用された研究方法や実験手続き上の問題点、諸研究間の結果の不一致の原因などについて考察し、今後の研究の方向性を示唆した。[執筆頁数8頁]