照応形の束縛に基づいたかき混ぜの派生について
本論文では,照応形の束縛という観点からかき混ぜを分析した。先行研究でよく用いられる例文のインフォーマントチェックを行った結果,長距離かき混ぜにおいても,かき混ぜされた名詞句が照応形の束縛子になり,照応形を束縛する解釈を認める話者がいることが分かった。この結果に基づいて,かき混ぜの派生を多重指定部構造を用いて説明した。かき混ぜに二種類の派生を認めることによって,先行研究の判断とインフォーマントの判断を説明することができることを示した。
広島経済大学研究論集
第35巻
4号