わが国の主要経済研究機関によるマクロ経済予測の正確さと合理性について分析する。予測の正確さを評価するため、平均平方誤差と平均誤差という基準を用い、予測値が実績値を常に上回る、常に下回るということはないこと等がわかった。予測の合理性では、合理的期待形成仮説に基づく予測の不偏性の検定により、予測機関による経済予測の過半数で合理性が棄却されているにもかかわらず、それらの予測機関による予測の総平均値は合理性が棄却できないケース(アグリゲーション・バイアスが存在する)があることがわかった。合理的期待形成仮説の実証研究において、サーベイデータ等の平均値を使って仮説検定することの危険性を指摘するものであると言えよう。