ブータン王国における経済開発と国民総幸福量:GNH追求政策をめぐる経済学的考察
ブータン王国が掲げる経済開発の方針は「国民総幸福量の追求」と呼ばれ、新しい考え方として注目を集めている。しかしながら、その具体的な方針と実績を周辺アジア諸国の成果と比較・考察すると、経済学が伝統的に課題としてきた資源の効率的な配分と所得の公正な分配という理念と何ら矛盾しないことがわかる。その意味で、経済学が探究する経済開発の理想と国民幸福量最大化とは、同じ方向を目指すものであることが確かめられた。
広島経済大学『経済研究論集』
第30巻
3・4号