ドイモイ路線に基づくベトナムの経済改革における最重要政策である外国資本導入政策について、その展開や意義を論じ、その効果を計量的に分析する。同国の政策当局者は、海外からの直接投資による生産性向上、生産技術習得、社会インフラ整備、資源開発、輸入代替、輸出促進、雇用創出などの効果を期待して、法律の整備、輸出加工区や工場区の計画など、数々の外資優遇政策を積極的に展開してきた。パネル・データを用いた対ベトナム直接投資関数の推計により、同国経済の安定と外資優遇政策が投資の誘因となっていることが確認された。ただし、今後、更なる外資導入を期待するなら、一層の投資環境整備が不可欠となるであろう。