情報の非対称性の下での金融契約 -ハイ・ロウ・サーチ・アプローチ-
本稿では、企業の投資収益についての情報の非対称性が存在し、企業と銀行間の貸出交渉がハイ・ロウ・サーチ・アプローチに基づいて行われるとき、代替的な企業モデルのそれぞれの下において信用割当がどのように行われるかについての分析を行った。その結果、2つの代替的な企業モデル、すなわち近視眼的な企業と戦略的な企業を考えた場合、第1期には戦略的企業モデルの下でより多くの信用割当が発生するが、逆に第2期には戦略的企業の方が信用割当を受ける可能性が小さくなることが明らかにされた。
九州大学大学院経済学会『経済論究』
第88号