混合整数計画問題を解く際には緩和法に基づいた分枝限定法が一般的に用いられている.分枝限定法は,混合整数計画問題の制約を連続緩和することによって得られる連続緩和問題を解き,得られた解をもとに解空間を分割し,解の有界情報を用いて枝切りを行うことで探索数を減少させるという二つの操作を繰り返し,最終的に混合整数計画問題の最適解を得るというアルゴリズムである.しかしながら,混合整数計画問題の規模が大きくなると分枝操作を適用する回数が増え,最適解を得るために解かなければならない緩和問題の数が増大し,有効な時間内に最適解を得ることが困難になるという問題点が指摘されている.一方,混合整数計画問題に対して,Bendersは緩和法に基づいた分割法を提案し,その有効性を示している.Bendersの分割法は二つの過程から構成されている.一方は,混合整数計画問題に含まれる整数変数を実行可能な値に固定することで連続変数のみの問題に変換し,その問題の解,もしくは,有界条件を得る過程であり,もう一方は,連続変数のみの問題を解くことで得られた解,もしくは有界条件を用いて整数計画問題の制約式を作り出し,その問題を解き,整数解を得る過程である.Bendersの分割法は,この二つの過程を交互に繰り返すことで最終的に混合整数計画問題の最適解を得るという手法である.この分割法の利点は,実数変数,整数変数の各々の問題に対する有効な解法が適用できる点と問題の規模を縮小できる点にあるものの,実数変数,整数変数のそれぞれの問題を繰り返し解く必要性から計算時間を要する欠点も存在する.そこで,本研究においては,混合整数計画問題の一分野である混合0-1計画問題に焦点をあて,この問題に対する解法としてBendersの分割法を採用した.また,Bendersの分割法によって生成する0-1計画問題に対する解法として遺伝的アルゴリズム (以下,GAと略記する) を用いた.提案手法の有効性を検証するために数値実験を行った.数値実験では,比較対象としてBendersの分割法とランダム法を組合せた解法,分枝限定法を採用し,それらの解法と提案手法の性能を解の精度ならびに計算時間の観点から考察した.