本論文は、内示プロセスにおける内示、確定注文の間の共和分の関係式(長期均衡式という)を高精度に求め、これが内示のブレに相当することを実証する。長期均衡式を求めるに際して、内生性、分散不均一性、系列相関等を考慮して、長期均衡式の係数(長期均衡係数という)の高精度化を図ることである。具体的には、
(1)共和分分析としてEngle and
Granger検定、Johansenの方法に加えて、内生性バイアスを減らすDynamic OLS (Dynamic Ordinary Least Squares regression)により、長期均衡係数を求める。
(2)均一分散を前提にした標準誤差(SE)ではなく、HAC(Heteroskedasticity and
Autocorrelation Consistent) SE を用いた係数の検定を行う。
(3) White検定[8,16]を用いて分散不均一性の検定を行う。
これらの手法を駆使した分析結果をもとに、求められた長期均衡式から、内示を用いる取引形態に内在する特性を考察する。併せて、内示の時系列特性の統計的な解析を行うための計算法を確立する。