本稿では、モンテカルロ・シミュレーションによって、ARFIMAモデルにおけるパラメータdの推定方法のパフォーマンスを比較した。推定方法として、ここではピリオドグラムを用いる方法、ウェーブレット分散を用いた推定方法、最尤法を分析の対象とする。分析の結果は以下の2点である。(1)ウェーブレット分散を用いる手法は下方にバイアスがあり、バイアスは定常の領域で顕著である。(2)最尤法は他の手法と比べ推定値の平均が真の値に近く標準偏差も小さいという結果が得られたが、非定常の領域では標準偏差が大きくなる傾向がある。(共著者;永田修一)