改革・開放以来、中国は外資直接投資導入を積極的にはかってきたわけであるが、外資直接投資導入の総体戦略からみれば、80年代の「不足を補い不要を避ける(補短避長)」という戦略を経て、90年代に入ってから「市場をもって技術と交換する(以市場換技術)」という戦略に重きを置くようになった。80年代の戦略は労働集約的輸出産業への外資直接投資導入に重点を置くものであった。90年代の戦略は、外資直接投資の導入によって、国内産業の調整をはかろうとしたのであった。WTO加盟につれ、これまでの外資導入の問題点の改善を含む今後の中国の外資導入に対してどのような政策をとるべきかについて、活発な議論が行われている。議論は、①外資に対して制限と差別政策を継続すべきか否かという議論、②外資に対して優遇政策を継続すべきか否かという議論、③国民待遇を実行するというのが外資政策調整の基本方向であるか否かという議論の三点であるという。本訳稿で紹介する趙中傑氏の見解は、②の議論に関連し、外資に対して優遇政策を継続すべきであるとの論である。趙中傑氏の見解に対して批判的立場をとるのが、議論③に関連する郭飛氏の見解である。