中国の貿易は2001年のWTO加盟後驚異的発展を持続し、中国の経済成長を力強く牽引し、世界貿易における中国のプレゼンスを急速に高めてきている。その一方、貿易黒字額の急増を主因とする経常収支の不均衡、貿易摩擦の深刻化や巨額の資本流入に伴う過剰流動性の発生などの弊害がもたらされたことも事実である。何より重要なのは、労働集約型、資源依存・消耗型、低付加価値型輸出を主に依存する貿易発展方式の転換をはからなければ、中国は持続可能な経済発展を実現することができないということである。 2012年3月、商務部など10省庁は合同で「貿易発展方式の速やかな転換に関する指導意見」を取り纏めて発表した。「指導意見」では、これまでの貿易大国としての地位を固め、さらに進んでいわゆる貿易強国へのプロセスを推進することが明確に謳われている。「指導意見」は、今後一定期間中国の対外貿易発展の指針になると位置付けされている。 本訳出稿は「指導意見」の骨子をより具体的に明確な政策次元の枠組で示し、今後の中国の対外貿易の発展の具体的な方向や新たな取り組みをくっきりと打ち出している。