裴長洪　「二つの転換」をどう位置付けるか―開放型経済水準の全面的向上におけるその意義―

本訳出稿では、中国の「18大」（共産党第18回全国代表大会）で提起された開放型経済水準の全面的向上の目標を実現するためには、対外経済発展方式の速やかな転換と、グローバル経済ガバナンスに積極的に参加し、グローバル経済における自己の位置付けを転換するという「二つの転換」が最重要課題であるとの認識が示されている。　　　　　　　　　　　　　　　　　本訳出稿は、著者によるこのような政策的提案と、それぞれの「転換」を取り巻く現状を分析、確認作業を行いながら、具体的な転換方向とその内容に切り込んだものである。本論文の中で展開された氏の論は、氏が中国対外経済政策策定の中心的人物であることを考えれば、今後の中国の対外貿易、外資直接投資の動態を見ていく上で、重要な方向性を示すものとして、また、経済のグローバリゼーションの中で、中国の担うことができる力量の制約性と果たすべき役割、目標をかなり明確な形で示唆する学術的かつ政策的含意をもつ文献と思われる。

広島経済大学経済研究論集

第36巻

第4号